貸スタジオの小さな幸せ



2.リードボーカルを歌う小さな幸せ



前にも書きましたが、僕はオリジナル作品を作っています。コーラスを主体とした曲なので貸スタジオで自分の歌を録音するわけです。コーラスだから各パート毎に3,4回録音しなければなりません。楽譜を読むのが得意でない僕にとっては新しい曲を初回に録音する時は厳しいものがあります。譜面とにらみっこしながら2時間ぐらい格闘するとようやく1曲分いれられる程度です。初めての場合、慣れてないこともあり音程が不安定だったり、歌詞を間違えているなど大抵気に入らない箇所がでてくるのでまた、もう1回全部入れ直したりします。2、3回入れなおすと慣れてきて内容も充実してきます。そんなことを繰り返して僕のオリジナル作品が段々完成していく訳です。


ところで、コーラスは、今は4声のコーラスでボイシングしています。オリジナルを作り始めた頃は3声でボイシングていました。僕は、当面の目標がマンハッタン・トランスファ(男性2人、女性2人のジャズ・コーラス・グループ)みたいな音楽を目指しているのでいつかは4声にしたかったんですよ。3声から4声にレベルアップしたのは、オリジナル作品を作り始めてから1年くらいたってから。切り替えた当初はもう1声余分に録音しなければというのが重荷に感じていましたが、今はそうでもなくなりました。


前置きが長くなりました。小さな幸せの話をしましょう。4声の録音は低いパートから順にいつも録音します。コーラスのボイシングは、ピアノで響きを確認しながら付けるので場合によってえらく歌いにくい旋律になることもあります。でも、練習の意味もあるのでできるだけ歌いにくいまま録音するようにしているので最初は結構時間がかかります。歌いにくくてもその結果生まれるコーラスの響きが良かったらという期待感があるんですよね。録音の順序を低いほうのパートから先にするのは、ここで説明する小さな幸せを感じるためなんです。1声分パートを入れたら、次は録音したパートを再生しながら次のパートを録音します。録音したパートは再生せずに次のパートを録音したほうが音につられたりせずいい状態で録音できるとは思うのですが、他の音につられなくなるというのも練習のひとつだと思うのでそういう方法をとっています。この方法は、最近ようやくできるようになってきました。コーラスを始めた頃は、つられまくってまともな録音になりませんでした。先が思いやられましたが慣れの問題だったようで少しずつは進歩しているみたいです。それと、この方法をとれば、1声加わる毎にコーラスのアンサンブルが段々構築されていくさまが判り、これが実にワクワクするのです。3声までパートを録音するとだいぶコーラスらしくなってきます。ここでリードボーカルのパートを録音すればコーラスが完成するのですがこの段階で僕はいつも小さな幸せを感じざるを得ません。何故ってあたかも他のコーラス・メンバーを3人従えて主旋律を歌う訳ですから気持ちよくないわけがありません。


ここまでは、結構長い道のりでなんです。新しいメロディを思いつくと、それにコードをつけ、歌詞を考えます曲に相応しいバンド演奏をMIDIで作りコーラスのボイシングを譜面に書き留めます。ここまでして初めて貸スタジオで録音できる準備ができるわけでです。で、最後のリードボーカルを録音すれば、作品の初テイクが完成するわけですが、ミュージカルでいえばフィナーレの一番いいところを見るという場面に相当するのかもしれません。だから小さな幸せを感じずにはいられません。今入れたばっかしの3声のコーラスとMIDIで作ったBand演奏をバックにリードボーカルを歌うともうスター気分で言い知れない幸せに浸ってしまいます。カラオケで歌うのに似た感覚かもしれません。正直苦労した後報われた、そんな感覚を覚えたのは正直新しい発見でした。


貸スタジオでの幸せはこれ1つではありません。別の幸せを次回に説明します。では、またお会いしましょう。


     御感想、御指摘等のご連絡は、貸スタジオの小さな幸せまでどうぞ