ワルツ・フォー・デビー(Waltz for Debby) ライナーノーツ | Metamorphosis-One カバーソング |
昔から好きだったビル・エバンスの名曲。或る日、アカペラで歌うアレンジを思いついたが、歌詞がわからないのでずっとお蔵入りになっていたが.....。 アカペラへの道 いばらのファルセット |
【宝物のように感じたビル・エバンスの譜面】
ジャズ・ピアニスト ビル・エバンスが作った美しいワルツ。昔からずっとお気に入りの曲。学生の頃、エバンスが弾いた演奏をコピーした譜面をとある楽器屋で見つけ、まるで宝物を発見したかのように喜んで買った昔が懐かしい。最近、インターネットの掲示板なるものに参加するようになった。掲示板と言うのは、色々共通な話題を話し合うために設置されていてもう星の数ほどインターネット上に存在する。僕は、ジャズが好きなのでそういう掲示板を探すとありすぎてこまっちゃうほど沢山のトピックがあります。
【掲示板の交流がきっかけ】
結局、一番気に入ったのがYahooの掲示板にある「大草原の喫茶店」でした。ここに出入りしているうちに親切な方が僕に「Waltz for Debby」の歌詞を教えてくれました。それで、アレンジしたいスイッチがはいってしまいそれからというもの、朝から晩まで「Waltz for Debby」つくりに没頭する毎日が始まりました。こんな風にアレンジしたいという構想は大体出来上がっていました。ビル・エバンスのピアノ・ソロのヴォイシングをシミュレーションして作ろうと思っていました。ところで、オリジナルの演奏は最初の1コーラスは全部エバンスのピアノソロです。実にかっこよく大好きな演奏です。とくに、出だしのハーモニーは絶品といえる内容でこれを自分でも真似したくて楽譜を買ったようなものです。
【うまくいくか不安だったアカペラ】
最初の16小節はアカペラで始まります。アカペラのアレンジはかなり苦労するだろうなあと覚悟して臨んだのですが、ここは最初に考えたアレンジで何とかいけそうでした。16小節以降は、ベース、ピアノ、ドラムの順で段々楽器が追加されて行き、2コーラス目のピアノ・ソロに突入します。3コーラス目はコーラスが入りますが、バロック的対位法のメロディが交錯する部分を経て、テーマに戻りエンディングを迎えるという構成で作りました。
【苦手なファルセットと正面から向き合う】
一番苦労したのは、本格的なファルセットボイスを全面的に採用したことです。僕は昔から、ファルセットは苦手。小さい頃からあまり練習した記憶がありません。でも、この曲はコーラスのボイシングの音域を高めに設定して輝くコーラス響きをどうしても実現したかったんです。まるでマンハッタン・トランスファが歌っているように....マンハッタン・トランスファはアメリカの超絶なテクニックを持つコーラスグループで若い頃、大好きなグループでした。彼らが歌うようなコーラスサウンドをこの曲で再現したいと思ったわけです。そのためには、女性が出す音域まで歌えるようにする必要がある訳でそれでファルセットは、避けて通れない壁ということになります。
【様にならないファルセット】
ファルセットは当然一番高いリード・パートで多く使います。しかし、そう簡単にファルセットはうまくなりません。最初の頃は音程が不安定で微妙にずれているため、なかなか様になりません。何度かこりゃ無理かなとあきらめかけたのですが、気長に取り組むつもりで今も努力中です。多分、自分の気に入ったファルセットが歌えるようになるには、2、3年の歳月が必要だと思うのです。あせりは禁物。しばらくへたな歌を聴くはめになると思いますが、大目に見て頂きたいと....
【エンディングはとんでもない旋律に】
曲の終わりは、エバンスのオリジナルの演奏と同じようにしたかったのでコーラスのボイシングを作って歌ってみたのですが、とんでもないコード進行なのでコーラスのボイシングもなんじゃこれはという旋律になってしまいます。特に、2、3声目はほんとにあってんのかいなと不安になり何度も譜面を見直しましたが、確かにこの奇妙な旋律で間違いありません。普通、リード以外のパートはコードの流れを意識すればなるほどだからこういう旋律になるのかと納得できるのですが、ここの部分は例外のようです。ピアノに合わせて何回歌っても納得できませんでしたが、どうにかこうにか4声分を入れました。聴いてみるとエヴァンスがピアノで弾くみたいに聴こえたのでほっと一安心。ピアノが伴奏でついているのでまあまともに聴けるようです。アカペラだったらもっと苦労したと思いますが......
【バロック風アレンジ】
ところで、中間にはいるバロック的対位法の部分は現在、煮詰まってしまいほったらかしになっています。イマイチ、うまくアレンジできていません。これは無理やり直しても良い結果はでないと思うので、天の声というか良いメロディがやってくるまで待つしかないかなと思っています。