ピープル(People) ライナーノーツ | Metamorphosis-One カバーソング |
森 美紀子さんのレパートリーを聴いてるうちに自分でも歌いたくなった曲。 |
【伴奏しながら自分でも歌いたくなって】
この曲は、僕の歌の師匠、森 美紀子さんがレパートリーにしているバラードです。銀座パナシェでたまに、伴奏するのですが良い曲だなあ....自分でも歌ってみるかと思い立ち取り組み始めました。歌ってみるとなかなか歌い甲斐があります。ソロで歌う場合色々な歌い方のポリシーがあると思うのですが、この曲を歌うならと考えはじめたら「エラ・フィッツジェラルド」の顔が思い浮かびました。自分の声をまるで楽器を弾くように操るまさにボーカルの魔術師です。
【この曲を歌う目標】
それでこの曲をフェイクして歌う歌い方を練習するつもりで取り組みました。フェイクというのはオリジナルのメロディを崩して歌う歌い方です。一口に崩すと言っても色んな崩し方があります。この曲で色んなフェイクの仕方を覚えたら僕の歌もちょっと進歩するんじゃないか?そういう期待も込めてはじめました。エラの歌を聴くと歌い方は実に多くのバリエーションに富み、聴くものを飽きさせません。せめて1秒間だけでもあんな風に歌ってみたいもんです。
【目標その2】
ついでにもう1つ、目標を立てました。それは、低音をうまく歌うこと!そのためキーを僕にはちょっと低いなぐらいのところで設定しました。僕は男としては音域は高いほうに属します。なので、自分の低音はあまり好きになれません。低音にはちょっと憧れがあります。しゃべる声が低い人の声を聴くととてもうらやましい。
昔、学生時代にアルバイトしていた「Popo」という赤坂のお店がありました。そこで或る日やってきたお客さんが(スウェーデンの人だったかな?)お店で「ダニー・ボーイ」を歌いました。それがほれぼれするような低音で朗々と歌うのです。その時から僕の低音に対する強い憧れが生まれた気がします。余談ですがこれだけ強い憧れを抱いたのは多分生で聴いたからではないかと思います。もし、CDかなんかで聴いたとしたら生で聴いた印象の半分も残らなかったんじゃないかと思います。生で音楽を聴くチャンスはいまのとことそう沢山はありませんがなるべく機会を増やして新たな感動や憧れを体感できるようにしたいものです。
【ピチカート・ストリング】
それで、ピープルです。この曲の出だしは「People〜」から始まりますが、低い音で始まります。(絶対音で言えばレミ〜ぐらいです。)「Popo」で聴いた「ダニー・ボーイ」を思い出しながら練習しました。バンドの演奏を作っているうちにストリングを入れてみたくなりピチカート・ストリングを入れてみました。僕は、バンド演奏は全てMIDIで作りますがストリングスを入れてみるのは初めての試みです。ジャズのCDでストリングスがはいった名演は沢山有り、その頃ちょうどよく聴いていた「クリフォード ブラウン ウィズ ストリングス」を参考にして作ってみました。この、CDは結構好きです。アレンジャーのクレジットを見ると、ニール・ヘフティと書いてあります。んっ、どこかで聞いた名前だなあ....そうそう、Basie楽団のアレンジャーをしていた人だぁと思い出しました。ストリングスはピチカートストリングスだけでちょっと控えめなアレンジにしました。本格的なストリングスを取り入れた作品はいつか別の曲で挑戦してみたいなあと思います。控えめといえばもう一つ。僕は、コーラスが大好きなので作品にはコーラスパートがテンコ盛りで沢山入っているのが常ですが、この曲に限ってコーラスパートはたったの2小節です。コーラスを入れたい気持をグッとガマンして雰囲気を壊さないようにしたつもりです。
【凝ったコード進行】
コード進行はいつもながら凝ったコードにしました。元々この曲のオリジナルのコード進行は変わっています。それに僕の変態コードを付け加えるのでよけい変になる。でも、バックとして違和感のない演奏になるように心掛けたつもりです。だから、聴く限りはあまり変だとは感じないかもしれませんが、楽譜をみると相当変です。このコード進行で美紀子さんの伴奏をしてみましたが彼女はこのコード進行はお気に召さなかったようです...残念。
【ピアノ・ソロ】
2コーラス目は、ピアノソロにしました。この頃、聴いて凄いと思った「ダイアナ・クラール」の「Look of love」の雰囲気を参考にしてこのパートを作りました。