セサミ・ストリートのテーマ ライナーノーツ | |
アメリカの子供向け番組のテーマソング。この曲は子供向けといっても曲自身は唸ってしまうほどジャズのエッセンスに満ち溢れています。 お気に入りの音楽千夜一夜 |
【お決まりのパターンが嬉しい】
この曲はイントロから素晴らしいですね。お決まりの7thコードを使ったフレーズがなかなか心地良いです。段々楽しさが込み上げてくる名曲です。僕はオリジナルのまんまのテイクも好きですが、この曲をジャズ風にアレンジしたテイクも好き。ジャズ風のアレンジで聴いた最初は確かオスカー・ピーターソンのアルバムだったと思います。
【初めて聴いたのはピーターソンだった】
オスカー・ピーターソンはテクニシャン故にパラパラ弾き過ぎて奥ゆかしさがないとかあれはほんとのジャズじゃないとか酷評する人がいますが僕は大好き。ピーターソンの演奏は一言でいうと華麗。上品。ジャズの1要素である泥臭さは微塵もありません。ちょっと上品過ぎるかなと感じることもありますが好きなことには変わりありません。聴けば瞬時にピーターソンってわかります。やっぱあそこまでオリジナリティのある音楽を作れるって尊敬してしまいます。それからあれぐらいピアノが弾けてしまうことにちょっと感動してしまいます。弾きすぎる。確かにそうですが同じように弾こうと思ったら僕はどれぐらい練習を積めばよいのでしょうか。そんなことを考えると僕にとっては神様みたいな人に思えてきます。
【鍵盤のチューニング】
何かの雑誌で読んだ記憶がありますがピータソンは演奏する前に鍵盤を下から上まで1回パラパラと弾くそうです。で、チューニングがおかしい鍵盤に遭遇するとコンピュータみたいに記憶してその後の本番の演奏ではその鍵盤を使わずに演奏するらしいです。ちょっと俄かには信じがたいのですがピーターソンならできそうな気がします。しかしあの華麗に弾きまくるピアノスタイルでそんなことができるというのはやっぱたいしたもんだなと小さい頃感心した覚えがあります。話がそれてしまいましたね。「セサミ・ストリート」の話でした。全体のアレンジはこのピーターソンの昔聴いた印象を再現するつもりで造ってみました。整理が悪くてカセットテープに昔録音した記憶があったのですがどこかへいってしまいました。機会があったらもう一度聴いてみたいものです。
【麻薬みたいなフレーズ】
イントロのフレーズは結構ジャズやポップスでお目にかかる伝統的なフレーズです。譜面にするとこんな感じ。7thコードを使ったクラシックにはない独特のフレーズです。最初に誰が考えたのでしょうか。譜面で見てもなかなか美しいフレーズです。このイントロを弾いていると何回も弾きたくなって時間を忘れます。まるで麻薬みたいに弾いても弾いてもまた弾きたくなってしまう。そんな不思議な魅力を感じます。思うにフレーズによってそう感じるものと感じないものがあるっていつも思うのですが不思議ですね。
【転調の妙】
この曲を聴くといつも何だかウキウキした気分になることが多いです。最初のイントロが影響しているかもしれません。なにせ僕にとっては麻薬のフレーズですからね。笑)もう1つ好きなところがサビの部分です。キーがCとするとサビはA♭に転調します。この転調が実に気持ちいいです。イントロのフレーズと同じように何回もサビを弾きたくなってしまいます。なんでこんなに気持ちいいのか考えてみました。Cの5度はGですよね。A♭からCに戻る時、A♭→G7に移るのが半音で下がります。だからじゃないかって思うのですがどうでしょうか。そんなマニアックな話はどうでもいいって?そうかも知れません。話題を変えましょう。
【デュエット・スキャット】
この曲はDreamy用にアレンジしました。折角アレンジするのですから何かオリジナリティを感じさせる要素を盛り込みたいと思い色々考えてみました。Dreamyはデュエットのコーラス・グループです。できればその特徴を生かしたい!そこでデュエット・スキャットなんていうのを考えてみました。スキャットを歌う時ってソロの場合は大抵アドリブで歌います。楽器のように歌う人にとっては一番の見せ場でもあります。まるでサックスやトランペットが吹くように歌えるともう拍手喝采の嵐です。デュエットの場合同じ手法でやってもあまり冴えない出来になってしまう気がします。二人の息がピッタリでないとどうしてもフレーズがぶつかったりしてうまくいかないことのほうが多いように感じます。ここはアドリブでやってみたいところですが我慢して譜面を作ることにしました。2声でバッチリハモるスキャットのフレーズという訳です。2,3回作り直すつもりで頑張りたいと思います。