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お気に入りの音楽 千夜一夜       


  第64夜 セサミ・ストリートのテーマ

【子供向けなのにジャズらしさに溢れる歌】
 「なんだよ、子供の歌かよ」とガッカリした貴方。バカにしてはいけません。この曲は確かに子供向けに作られた曲ですがジャズのフレーバー溢れる名曲と思うのは多分僕だけではないはずです。セサミ・ストリートの話題を出したら「いやあ、実は俺も好きなんだよ。」とおっしゃる人が意外に多いのではないのではと思ってしまいます。特に音楽やっている人に知り合いがいたらそういう反応が返ってくるかも。


【何故か最後まで見てしまう子供番組】
 セサミ・ストリートはしょっちゅうではありませんがTVでやっているのをみかけると大抵最後まで見続けていた記憶があります。ちょっと驚くのが有名なジャズ・ミュージシャンとかゲスト出演したりします。今思い起こすと飽きずに見続けていたのはセサミ・ストリートで流れていた音楽がどれもなかなか秀逸だったからという気がします。いつもへえっ、と思いながら映像というよりは流れる音楽に耳を傾けていた気がします。その中でも強烈に印象に残った曲が2曲あります。まず、数字の数え歌だったと思うのですがピアノで奏でられる変拍子の曲が今もおぼろげながら記憶に残っています。この曲を番組の中で初めて聴いた時は鳥肌が立ちました。思わず身を乗り出して聴いてしまいました。とても素晴らしい音楽だと感じました。オリジナリティがあり世界に1つしかないという感じ。


【奇をてらってもいいと感じられる曲】
 オリジナルというと特異性を出すために奇をてらった変てこな曲を聴くことがありますがちょっと独りよがりな気がして閉口してしまいます。この曲は「Take5」みたいに変拍子の必然性みたいなものが感じられて僕の心の中にすっとはいってきた感じでした。こんな風に感じられるこの曲を作った人はきっとこの曲ができた時は随分よろこんだんじゃないかな。そんな風に感じられるってなかなかないことなので....機会があったら是非もう一度聴いてみたいものです。ところでこの曲に負けじ劣らずの名曲がもう1曲あります。


【ジャズ・コーラスで再び耳にする】
 それがこのセサミ・ストリートのテーマソングです。7thコード特有のお決まりフレーズから始まるイントロを聴くと何かウキウキした気分になってきます。若い頃から僕はコーラス好きでしたがたまにライブハウスに聴きにいったりしてました。その中でジャズ・ピアニストの佐藤允彦さんがアレンジを担当したコーラス・グループの演奏を聴きに行った時です。(確かイッツというグループだったかな?)「ジャッ、ジャッ、ジャッ、ジャッ、ジャッ、ジャッ、ジャラ、ラン」と耳慣れたフレーズが聴こえてくるではありませんか。「おお、どんな曲だろう」と期待した次の瞬間、「Sunny day~」と耳慣れたコーラスの歌声が聴こえてきました。そう、彼らは「セサミ・ストリート」をレパートリーにしていたんですね。佐藤允彦さんの趣味かどうかは判りませんがこの曲を好きな人が誰かいた訳でちょっと嬉しくなってしまったことがありました。ジャズが好きな人なら大抵の人は好きになると思ったのはそういう経験をしたこともあるからなんですね。貴方はどうですか?


【転調の妙】
 ところでこの曲、サビで渋い転調をします。出だしのキーをCとするとサビでAに転調します。こう書くと「あっそう」と言われておしまいになってしまうのでもう少し付け加えますがこの転調は実に見事です。ぴったりはまっているという感じ。コピーして弾いてみるとそれが一層よくわかりもう一遍弾いてみようと思ってしまいます。弾き終わるとやはりもう一遍弾いてみたくなり結局何回も繰り返し弾いてしまうのです。


【質のいい音楽】
 この曲はほんとに色々感じることが多く感心します。この曲に限らずセサミ・ストリートに登場する音楽は多かれ少なかれそんな印象を持ちます。思うにですよ、普通に聴いていて「おっ」と思うということは多分作る側は僕が想像する何倍もの努力をして音楽や映像を作っているという思いが浮かんできます。僕もミュージシャンのはしくれですが自分の音楽を聴いてもらうようようにするにはどうすればいいんだろうといつも考えているわけですが良いアイデアというのはなかなか出てこないことのほうが多いです。アイデアが出てもそれを実際自分の思い通りの音にできるかというとそれも心もとない。それができたとしても自分だけそう思っているだけで聴いた人が「おおっ」と思うかどうかは神のみぞ知るです。そういう現実と比べてみるとあれほど耳を傾けたくなるっていうのはひょっとしたら物凄いことなんじゃないだろうかという結論に至ってしまいます。改めて日本の子供番組とは一線を画した質の高さを感じてしまいます。この辺相当番組制作に携わる人のコダワリを強く感じてしまいます。セサミ・ストリートのような良質の音楽を聴けるアメリカの子供たちは幸せものだと思います。が、これもだからといって優秀なミュージシャンが一杯育つかというとそれはまた別問題だから面白い。


【ハングリーな気持ちが育てるもの】
 多分裕福な家庭に育った子供たちはセサミ・ストリートを見飽きてしまってあまり感動しないかもしれません。世の中そういうもんです。それより普段TVを見ることもないような家庭に育った子供が偶然セサミ・ストリートを見る機会に恵まれて感動しミュージシャンを目指すようになったみたいな話は結構ありそうな気がします。こういうのをハングリー精神というのでしょうか?ともかくこれからもセサミ・ストリートのような良質なTV番組がこれからも作られ続けることを祈ってやみません。 今日はこれでお終い。
 では、また明晩お会いしましょう。


[関連情報]
作曲:Bruce Hart/Jon Stone/Joe Raposo
作詞:Bruce Hart/Jon Stone/Joe Raposo


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