実にリアルなフルートの音色も慣れてくると贅沢なもので改善したいところが出てきます。好みにもよりますがビブラートが大袈裟だと感じます。もうちょっと押さえたい。Viennaでどう修正すれば良いのでしょうか?色々な方法を試してみました。どこをいじれば良いかを見つける過程も含めて説明したいと思います。 |
1.修正するパラメータの絞込み | |
1) | 事前検討 |
ビブラートから関係しそうなViennaのパラメータはというとまずモジュレーション LFOとビブラート LFOが関係しそうです。パラメータを見て適切な設定がされていればその値を調整すれば音を改善できそうです。 | |
2) | 検証 |
具体的にパラメータを見てみます。Viennaの画面でモジュレーション LFO、ビブラート LFOの設定は右図のように設定されていました。
この設定値を見る限りジュレーション LFOもビブラート LFOも使っていないと言えます。何故なら「To Pitch」、「To Filter Cutoff」、「To Volume」のパラメータがいずれも0だからです。 さてそうすると一体どこでビブラートを実現しているのでしょうか。この音色は実にリアルです。Viennaのビブラートの機能では機械的になってしまいここまでリアルなビブラートは確かに作りこむことは難しいでしょう。そこではたと思いつきました。WAVEの音そのものにもうビブラートがかかっているのではないか?そうに違いないと思いはじめWAVEファイルの波形を見てみることにしました。WAVEファイルの波形をみてみると3秒ほどの長い音になっています。実際WAVEエディタで見てみると見事にうねっている波形が出現しました。波形がうねっているということは既にビブラートがかかっている状態の音であることを示しています。波形によってはかなり派手にうねっています。となると派手にうねっているWAVEファイルだけをうまく加工すれば大袈裟なビブラートを改善できそうな気がしてきました。 | |
3) | 改善方法の検討 |
次は具体的に加工するWAVEファイルを選定してみましょう。このサウンド・フォントは全部で11種類のWAVEファイルを組み合わせて音が出る設定になっていました。なかなか贅沢な構造です。WAVEファイルによってはそんなに大袈裟に感じない音もあるので11種類全部修正する必要はなく必要以上に修正してしまうと全体的に迫力がなくなったりして良いところを改悪してしまう恐れもあります。修正は必要最小限に留めるべきです。要するに派手にうねっている、別の言い方をすれば音量差の激しいWAVEファイルのみ修正することにします。 修正するべきWAVEファイルを選定するため各WAVEファイルの開始付近の音量レベルと終了付近の音量レベルを実際どれくらい差があるか計ってみることにしました。結果は以下の表のようになりました。えっ、レベルを測るってどうすればいいかってそれは「画面に定規を当てて....」いえいえそれは冗談です。ちゃんとうまく測る方法はあります。ツールを使うんですよ。詳細は以下を参考にして下さい。 →ツールを使ってレベルを測る。 |
WAVEファイル名 | 開始付近レベル | 終了付近レベル | 差(終了/開始) | 修正必要? |
---|---|---|---|---|
flute a3 | 125px | 238px | 1.9 | - |
flute a4 | 178px | 344px | 1.9 | - |
flute a5 | 275px | 298px | 1.1 | - |
flute c#3d | 151px | 301px | 2.0 | 必要 |
flute c4 | 230px | 284px | 1.2 | - |
flute c6 | 330px | 265px | 0.8 | - |
flute d#3d | 151px | 341px | 2.2 | 必要 |
flute e4 | 203px | 299px | 1.5 | - |
flute f#3d | 126px | 285px | 2.3 | 必要 |
flute f#4 | 184px | 284px | 1.5 | - |
flute f#5 | 260px | 301px | 1.2 | - |
あまり縮めすぎても迫力がなくなってしまいそうなので差が2.0以上あるものに限定して修正することにしました。するとflute c#3d 、flute d#3d 、flute f#3dの3ファイルが候補に挙がりました。 さて後はWAVEファイルを縮める具体的な方法です。どうしたらいいと思いますか。僕の「音楽に魔法をかけよう」を見ていくと答えが見つかります。コンプレッサというエフェクタを使います。これで準備が整いました。じゃあ、実際にWAVEファイルを加工してみることにします。 | |
4) | 実際の修正作業 |
具体的にViennaを使用するとその中で登録してあるWAVエディターが連動して音を加工できるようになります。実際に設定したスレッショルドの値と改善後の開始/終了差を以下に示します。 [詳細] ・ViennaからWAVエディタを起動する(製作中) ・WAVEファイルをコンプする(製作中) |
WAVEファイル名 | 差(改善前) | 差改善後 | スレッショルド |
---|---|---|---|
flute c#3d | 2.0 | 1.7 | -3.0db |
flute d#3d | 2.2 | 1.8 | -4.2db |
flute f#3d | 2.3 | 1.8 | -4.1db |
実際にやってみると予想しない事態というのが起こります。今回経験したのがループ設定の難しさでした。ループ設定は音を伸ばす場合に予めWAVEファイルの中の繰り返し再生する場所を指定しておくのですがこの設定がやたら難しい。操作自身はまあ見よう見まねでわかるのですがうまく設定したつもりなのにプツっとノイズがはいったりするんです。これがなくならないように設定するのはほんとに難しい。 [詳細] ・ループを設定する(製作中) ・クロスフェードループを設定する(製作中) | |
5) | 改善後のサウンド・フォントを評価する |
さてこの改良したサウンド・フォントで実際音を鳴らしてみました。ほぼ思い描いたものに近いサウンドにできた気がします。 →理想的に改善した音を聴いてみる。 |