音楽に魔法をかけよう 音楽に魔法をかけよう 音楽に魔法をかけよう 音楽に魔法をかけよう
音楽に魔法をかけよう

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4.5)リアルなブラスサウンド~
    最終調整して最大の効果を上げよう

【ブラスの魔法は神経質で繊細】
 今まで「アタック & クレッシェンド」、「グリース・アップ」、「ナチュラル・ビブラート」の3つの魔法を紹介しました。これはいずれもそっけないMIDIの音を実際奏でられる自然の音に近づける種類の魔法です。実際に奏でられる音は実はもっと複雑怪奇です。それをできるだけ単純化して人の手で設定できるように似せて作っているわけですね。この単純化したパターンを実際の演奏になるべく当てはまるよう馴染ませる必要があります。例えれば単純化したパターンはノコギリで切った木片の断面のようなもの。馴染ませるためにカンナで削って断面を綺麗に仕上げをしないと見栄えが悪いです。それと同じで実際に奏でられるアンサンブルにもっと近づけるべく荒削りな状態から最終調整をした仕上げた状態にするとリアルさが増したより自然なブラス・アンサンブルが出来上がります。何をするにしても仕上げは大切です。ブラスのシミュレーションも同じで最終調整をしていくうちにブラスらしさが増すのを感じられ見違えるぐらい変わりますから期待しちゃってください。

 また、上記に加えてアタック&クレッシェンドをかけた音とかけない音のバランスの調整、各パート間の音量の調整、カット・オフ/レゾナンスの調整を経て全体を見渡した修正を施すと誰に聴かせても大丈夫と思える作品に仕上がってきます。

【最終調整の仕方】
 最終調整は貴方の耳が頼りです。「なんだ、結局コツはないのかよ!」と怒らないでください。耳が頼りという意味は荒削りなところを見つける時と言う意味です。ここが荒削りだと違和感を感じるところを見つけて修正をしていき頭から御終いまで聴いてみて違和感が感じなくなったら最終調整完了です。では違和感を感じる荒削りなところを具体的にどう直していくかを説明しましょう。

【アタックの調整】
 アタックのシミュレーションはイクスプレッションを使って設定しました。この設定はかなり微妙です。ちょっと変えただけでも聴いた感じが変わります。変更するのはアタック後のベロシティ(音量)をどこまで落とすかとどのくらいの速さで落とすかの2点を調整します。聴いてブラスのアタックらしくなればOKです。主に使うシーケンサの画面はイベントリストになります。(左図参照)具体的にMeans:Bt:Tikの値を修正しますが1つ1つ修正していたのでは嫌になってしまいます。ここで便利なのがクオンタイズの機能をうまく使うこと。ずらしたいイベントをまとめて選択しクオンタイズの画面で強さを0、すらしたいタイミングをシフトに入力すると(例えば-30,30など)選択したイベントが全体に移動します。なかなか便利なので是非使ってみてください。

【クレッシェンドの調整】
 クレッシェンドのシミュレーションもアタックと同じくイクスプレッションを使って設定しました。クレッシェンドで最も違和感を感じるのがベロシティ(音量)をあげ始めるタイミング。アタックと同様にイベントリストを使ってイクスプレッションの設定位置をずらして調整します。

【音量、音の長さの調整】
 ここまでくるとかなりリアルなブラスになったと実感できる仕上がりになってきませんか?ここからは全体をみながら修正することになります。シーケンサーの画面は左図のようなピアノロールの画面が最適です。ブラスアンサンブルの楽器を選択して開くとまとめて見られるので全体を見る感じで良いです。音量の調整はノリみたいなものを出そうとした時にとても重要な要素になります。音量の変化が不自然だとタイミングはあっていてもシャープに聴こえなかったりするので不思議なものです。1つのフレーズに注目して音量変化が自然な感じになるよう修正します。例えば段々盛り上がるフレーズは各パートのベロシティを5~10ぐらいずつあげていくように設定します。もう1つ各パートの音量バランスも大切です。トップ・パートは他のパートに比べ少しあげ気味にします。またアレンジの構成によってはメロディを受け持つ楽器が変わることもあります。メロディは目立つよう音量を上げ、伴奏部分は控えめに設定します。頭から聴いてみると嫌に音が小さい/大きいと思えるところが必ずあります。しつこくやればやるほど仕上がり感は向上します。この調整も1つ1つ音のベロシティを修正していたのでは日が暮れてしまいます。音量を変化させたい音をまとめて選びイベントチェンジの機能を使って修正します。イベントチェンジの画面でノートオンベロシティが加算が選択させていることを確認し音量を上げた時は+の値(10など)音量を下げたい時は-の値(-10など)を入力しOKすると選択した音の音量がまとめて変化します。ピアノロールで見ると良くわかりますがキーボードで入れた音は特に同音を何回も含むフレーズは特に音の長さが短くなるのである程度の長さに修正しないと違和感があります。音量と同じようにイベントチェンジを使ってまとめて修正しましょう。

【さらにノリの調整】
 音量と同時に修正したくなるのが裏の発音タイミングです。キーボードで入れたリズムを微調整してノリが感じられるようにしていきます。画面は音量、音の長さの調整と同じくピアノロール画面を使います。注意事項はある程度不揃いのまま調整すること。ぴったり同じならかなりシャープになるだろうと思いがちですがこれは逆効果になります。MIDIで自然に聴こえるようにする魔法を参考にしてくださいね。ひどくタイミングがずれている音は修正しますが100ticsぐらいのずれ幅はあってもおかしくありません。何回も再生してこの裏は早める/遅めるを調整していきます。うまくいくとフレーズにスピード感が出てくるのでやる気が高まります。是非お試しを!

【カット・オフとレゾナンス】
 ブラスのサウンドでのカット・オフとレゾナンスの調整は必須な項目だと思います。カット・オフを上げると音は明るくなり下げれば暗くなります。レゾナンスは上げると音は派手になり下げると地味になります。レゾナンスは1曲通して大きく変化はさせずブラスらしい音色になるよう調整します。方やカット・オフはメロディ部は明るく伴奏部分は暗く設定すると楽器本来の音らしさが強調されていい感じになります。これも頭から何回も再生して自然に聴けるよう最適な設定値を見つけます。カット・オフ、レゾナンスの設定は1変えるだけで雰囲気が変わるのが良くわかります。なので調整はわかりやすいので納得のいくまで調整することをお勧めします。

【終わりに】
 全然「ブラスらしくないじゃん」とブーたれていた貴方。読み終えた感想は如何でしたでしょうか?ちょっと繊細ではありますが現在のMIDIでもかなりリアルなブラスサウンドを作れるんだと実感して頂けたのではないかと思います。実際やってみてここがわかりにくい等のご意見は大歓迎です。メール、掲示板でご連絡頂ければ対応したいと思います。では、次の魔法を習得したらまたお会いしましょう。


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