【ちょっと地味ではあるけど】
アタック & クレッシェンドとグリース・アップのシミュレートで貴方のブラス・サウンドはどう変わったでしょうか?今回の魔法は先に紹介した2つの魔法に比べると地味で「なんだ、全然かわらないじゃないか」と不満をもたれる方もいらっしゃるかもしれません。しかしふとした折に一味違うなと思わせる玄人好みの趣をプラスできるので是非試してみてください。
【ナチュラル・ビブラートとは】
ナチュラル・ビブラートはそもそもどういうことか説明する必要がありますね。管楽器を奏でる場合人間が吹くわけですから例えばロングトーンで音を出す場合息の出し方、唇の具合などから音は微妙にピッチや音量が上下します。人間である以上これは避けられません。しかしMIDIでロングトーンで音を出す場合は理想的なピッチも音量も変化しない音が出ます。音楽的に考えると返って人間が吹く微妙にピッチや音量が上下する音のほうが好ましく聴こえることが多いです。それを経験的に知り演奏者はわざとピッチをもっと上下させるように吹くようになりこのような奏法をビブラートといいます。ナチュラル・ビブラートはビブラートしようと意識しなくてもかかってしまう微妙なビブラートのことを言います。
【正確さから来る違和感を目立たなくする】
と言うわけでビブラートのシミュレーションはピッチベンドを使って一定周期にピッチが少し上下するように設定します。余り大袈裟にピッチが変化するようにすると返って不自然さが増してしまうのでほどほどによーく聴くとかけているな程度が良いと思います。左図がその設定例です。要するに+の値→0→−の値→0を繰り返し入力していきます。間隔は50〜100tics(960分解能の場合)ぐらいかな?+,−の値は適当に50〜200ぐらいの値を適当に選んで入力します。そうそうもう1つ重要な注意事項があります。ピッチ・ベンド・センシティビティの設定を必ずすること。詳細は前ページを見てください。
【どこのパートまで設定するか】
ブラスアンサンブルの場合どのパートにこのナチュラル・ビブラートをかければ良いでしょうか?まずはリードパート。ベロシティが短い音(4分音符未満)にはかける必要はないと思います。ベロシティが長い音(4分音符以上)にはかけるぐらいが適切です。2ndパート以降は乱暴ですがかける必要はないと思います。敢えて言うならロングトーンで合奏ではなく単独で演奏される部分に適用するぐらいでよいのではないでしょうか。地味な効果なのでこの程度が適当だと思います。
【聴いてみると確かに違いは....】
最初に言ったようにこの魔法は効果がわかりにくいです。でもよーく耳をそばだてて聴いてみて下さい。ナチュラルビブラートをかけた部分が柔らかい音色に変化したと感じませんか?ブラスは元々やかましい部類に入る音色です。トップのメロディが柔らかくなるのでより自然な感じに聴こえるようになるのではないでしょうか?
【いよいよ最終段階に!!】
今まで説明した3種の魔法は如何でしたでしょうか。耳の良い方は「やらないよりはましだがやっぱりブラスらしくないじゃん。」と思われるかも知れません。そうなんです、この魔法はシミュレートが主体なため最終調整をしないと最大の効果をあげることが出来ません。その最後の仕上げの解説を次回したいと思います。お楽しみに!