音楽に魔法をかけよう
4.3)リアルなブラスサウンド~
グリース・アップのシミュレート
【はじめに】
Metamorphosis-Oneです。ブラス・サウンドの好きな貴方のための講座いよいよ第3回目です。今回のテーマは、グリース・アップのシミュレート。ブラス独特の音程変化のことをいいます。オルガンみたいなブラスサウンドから完全に脱却しましょう。
それじゃあ、始めよう。
【グリース・アップも色々ある】
グリース・アップはブラス特有の音程変化のことで目的の音程より低い音程で音を出し本来の音程まですくい上げるように音程を変化させることをいいます。Midiではピッチ・ベンド(pitch bend)を使って表現するのが一般的です。この音程を具体的にどのように設定すればよいか解説します。下記にグリース・アップの変化と各段階でのピッチ・ベンドの設定値を示します。
音程を変化させる割合と、開始する音程差の大小で同じグリース・アップでも音の表情にバリエーションを持たせることができます。2例ほど紹介します。同じグリース・アップでも随分表情が変わることを体験してみてください。
【1)軽めのグリース・アップ】
かすかに変化がわかる程度のグリース・アップです。具体的な設定値を以下に示します。
【2)深めのグリース・アップ】
明らかに変化がわかるグリース・アップです。具体的な設定値を以下に示します。
【サウンド作りの実際】
これが、Metamor1のお勧めするグリース・アップシミュレーションパターンです。前回のアタック&クレッシェンドと組み合わせることによりかなりリアルなブラスアンサンブルを作れると思います。
えっ、どうすればいいかは分かったが、これを全部手で入れるのは大変だって? 心配は御無用。前回と同様コピー & ペーストを利用して効率的にデータを作ってください。
ところで、注意点がいくつかあります。
Metamor1も経験したことなので貴方もきっとするに違いない。笑)
以下に説明することは、自分が設定した通り音がならない場合チェックしてみてほしいです。 きっと、役に立つと思いますよ。
【グリース・アップの色々な注意点】
- 1.グリース・アップの終わりに必ずピッチ・ベンド0を設定する。
- これをさぼると音程がめちゃくちゃになり聴くに耐えないサウンドになるので確実に挿入するようにしましょう。
- 2.ピッチ・ベンド・センシティビティは必ず設定する
- ピッチ・ベンド・センシティビティは要するにピッチ・ベンドの掛かり具合を設定できます。左図が設定例です。僕はいつも図のように12に設定します。これは必ず設定したほうが良いです。なぜなら他の曲で同じパートに別のピッチ・ベンド・センシティビティが設定される可能性があるからです。MIDI初心者の頃に経験したのが日によってピッチ・ベンドのかかり方が変わること。昨日もし他の人が作ったMIDIを聴いたとします。そのMIDIにピッチ・ベンド・センシティビティを0にする設定がされていたら昨日ちゃんとかかっていたグリース・アップが何で今日はかからないんだと悩むことになります。「転ばぬ先の杖」ということで設定は必ずしたほうが良いです。
- 3.ピッチ・ベンドを解説どおり設定したのに音程が変わらない。
- やり始めた時よく経験しました。コピー & ペーストをする時、一旦コピーしたパート内では大丈夫ですが、違うパートへコピーする時はチャンネルNoをそのパートのチャンネルに合わせないと音程は変化してくれません。繰り返し作業していると結構やってしまうので気をつけてください。事情は前回のアタック&クレッシェンドと同じです。
- 4.トップパート以外は、差し障りのない範囲でグリース・アップのピッチ・ベンドを省略する。
(ブラスアンサンブルを作る場合)
- トップパートは、パートの中で一番高い音を出し、一般的に相対的な音量も大きいので目立ちます。目立つということは、他のパートのピッチ・ベンドを省略してもまともに聴こえる可能性があります。まず、トップパートにピッチ・ベンドを設定し聴いて不自然ならセカンドパートにピッチ・ベンドを追加します。自然に聴こえたらそれ以降の設定は省略します。
今日はここまでです。次回は、ナチュラル・ビブラートのシミュレートを解説していきますのでお楽しみに!では、また。
御感想、御指摘等のご連絡は、までどうぞ