音楽に魔法をかけよう
1.7)美しい天使の響きを手に入れよう
~番外編:アカペラで使う~
空気感を演出するディレイの魔法
【アカペラで威力を発揮する天使の響き】
アカペラって好きですか。僕は大好き。元々コーラスが好きだけど楽器を使わない人の声だけで奏でる音楽は独特の世界感を感じさせる1つの小さな宇宙といえるかも。アカペラを聴くといつも何故か敬虔な気持ちになってしまいます。小さな幸せを感じる至福の空間と表現したくなるのは何故でしょうか。特別な感情を引き起こす特別なものが含まれている気がするのですがとにかく僕にとっては特別な憧れを抱くものといえます。ただ聴いているだけならそれで良いのですがぼくの性格上憧れることは自分でもやってみたくなってしまいます。それで自分なりにアカペラを作ってみようと思い立ち一人4役の4声アカペラを作り始めました。
【市販のCDと比べてみたら...】
作り始めて暫くすると「段々良い感じになってきたな」と曲りなりにも少し進歩が感じられると思えてきます。「僕のアカペラは世の中のアカペラと比べたらどの程度なんだろう」との思いが頭をよぎります。止せば良いのに市販のアカペラと聴き比べてみようとふと思い立ちました。果たして結果は...愕然としました。全然違うのです。まあ僕が作ったアカペラは音程が不安定で変なところが沢山あるので違うのは当たり前ですがそういう要素を差し引いて聴いてみても他に何か違う要素が感じられました。どうも納得がいきません。それでもう少し踏み込んで具体的にどう違うのか分析してみようと思いました。
- アカペラに必要不可欠な空気感
- アカペラの曲の場合、楽器がはいる曲とは音の作り方に決定的な違いが有ります。空気感というか余韻を残すためにディレイやリバーブのエフェクトが沢山かけてあります。アカペラの場合と同じエフェクトをかけて通常の楽器が入る曲を再生したら大変です。お風呂場で聴いているような余韻だらけの聴こえ方になってしまいます。音の密度が多いのでどうしてもそうなってしまいます。だから楽器が入る曲の場合はぐっと控えめにエフェクタをかけることになります。それくらいは僕も気が付いていてリバーブやディレイをかけていましたがそれにもかかわらず聴いた感じが全然違うと感じたのでした。プロが使う機材は所詮グレードが違うのでしょうがないのさというもっともらしい意見もあります。が、それは本当でしょうか?20年前だったら僕もそう思いました。しかし、時代は進化しパソコンで高品質のデジタル録音が出来るようになりました。現在のデジタル技術を使えば昔何百万円もした高価なエフェクタも実際に買わなくても安価にソフトでのシミュレーションが可能な時代になってしまったのです。実際にそういうソフトがインターネット上に星の数ほど出回っています。そう考えるとエフェクタの適切な設定方法さえ把握できれば実際プロが使う録音スタジオさながらの音を作り出せる可能性は十分にあります。
- 昔の記憶で気がついたディレイを使う魔法
- 僕が聴いて愕然としたCDは山下達郎さんの「ホワイト・クリスマス」です。一人4役で作られたアカペラで楽器は一切はいっていません。この曲をコピーしてアカペラを作ろうと思ってがんばってみたというわけです。さて、耳を澄ましてじっくり山下達郎版とMetamorphosis-One版の「ホワイト・クリスマス」を聴き比べてみました。1つ気が付いたことが山下達郎版は音がとても柔らかい感じがします。ちょっとオブラートに包んだような、そんな感じ。エフェクトでいえばコーラスをかけたような感じです。コーラス?そこでピンときました。昔バンド活動をしていた時にギターの人がエフェクタに詳しく僕が買ったばかりのデジタル・ディレイの設定で四苦八苦しているのをみてこうするとコーラスがかかったようになるんだよといいながらツマミを回すとあらら不思議。ほんとにコーラスがかかった綺麗なエレピの音になりました。彼がいじったのはたったの1箇所。ディレイ時間を30msに設定しただけでした。きつねにつままれたとは正にこのことだなと思いながらこういうことを知らないと折角良い機材を持っていても宝の持ち腐れになってしまうのだなと妙に感心しました。
- 実際に試す際注意すること
- 早速この設定を試してみようとシーケンサ(MMS:僕が愛用しているシェアウェア)を立ち上げディレイに以下の設定を施し試してみました。あれ、あまり変化がありません。どうしてでしょうか。諦めかけていたところでもう1つ気が付きました。当たり前のことですが30mSディレイで設定した音は具体的にエフェクト側の音量を上げなければ聴こえないのです。設定を確認すると10%ぐらいの設定になっていました。これを一挙に100%に上げたら「おお、山下達郎のCDみたい」と思える音色で聴こえてくるようになったではありませんか!さらにエフェクト音とドライ音の割合を調整すると音の柔らかさを調整できることもわかりました。この日はドライ音とエフェクト音のツマミをいじりまくりアカペラのサウンドに浸り楽しんでしまいました。
【あとがき】
これで1つ魔法の呪文を手に入れたことになるのですが、その後さらに山下達郎版とMetamorphosis-One版を聴き比べるとまだなにか違いがある気がしてきました。何かこう立体感みたいなものが足りない感じです。試行錯誤した結果もう1つ魔法の呪文を獲得することになります。そのお話は次回することにしましょう。それではまた。
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