お気に入りの音楽千夜一夜 お気に入りの音楽千夜一夜 お気に入りの音楽千夜一夜 お気に入りの音楽千夜一夜
お気に入りの音楽 千夜一夜

お気に入りの音楽 千夜一夜



  第84夜 虹の彼方に
        (Over the rainbow)

【ミュージカルのために作られた曲】
この曲はミュージカル「オズの魔法使い」で歌われる有名な歌です。映画にもなっていて見ましたが今一内容はピンと来るものがなくあまり印象に残りませんでした。竜巻で家毎さらわれてしまうところまではよかったのですが気に入らないのが登場するキャラクタがいけてません。脳みそのない案山子ってのは頂けないなあ。気持ちはわかりますが理科の実験室にある人体模型を思い出してグロテスクなイメージが先に立って僕の好みではありませんでした。この映画のファンの人がいたらゴメンナサイ。結構好みはうるさいんです。好きな映画は映像にしろ音楽にしろ僕の感性に合ったものが見つからないとなかなか気をいれて見ないものです。


【キース・ジャレットの演奏】
さて「虹の彼方に」です。有名な曲なので色々なミュージシャンが演奏していて誰もが知っているという感じ。知らないと思っている貴方も実際に聴けば「ああ、何だこの曲か」と相槌を打つに違いありません。僕にとってこの曲の最高の演奏は何だろうかと思い起こしてみるとキース・ジャレットの演奏が心に残っています。キース・ジャレットはジャズ・ピアニスト。ソロ・ピアノでコンサートを催した活動が一時大きな脚光を浴びました。それまでジャズのジャンルでピアノ・ソロだけで各所でのコンサートを催す人はあまりいませんでした。あるとしても昔に遡りストライド・ピアノ全盛の時代にはあったかも知れません。後はオスカー・ピーターソンがたまにやっていたかも。殆どのピアニストはバンドの一員として参加するのが主体で活動しその中でたまにピアノの人をフューチャーしてピアノ・ソロを披露するぐらいでした。ジャズのピアノ・ソロという音楽のジャンルを築いてしまったと言っても過言ではありません。ちょうどキースが脚光を浴びた時期、僕は大学生。初めて聴いた時は物凄く衝撃的でした。「凄いな」の一言。多分イメージぐらいしか決めていない状態で繰り出されるスリリングなテーマから始まり中間は複雑な左手のパターンの上にきらびやかなアドリブが右手で奏でられます。それも半端な長さじゃない。普通ソロ・ピアノでアドリブすると言っても実際に観客が飽きないように聴かせて弾こうと思うとかなりの技量を必要とすると思うのです。だからソロ・ピアノで弾きたいと思う人は過去にはいたと思うのですが皆そういうことを心配してソロ・ピアノでコンサートすることは敬遠していたのではないでしょうか?それを実際にやってのけてしまったのですから素晴らしい。


【コンサートのアンコール曲】
で、そのソロ・コンサートでのアンコール曲でこの「虹の彼方に」が演奏されたものをCDで聴いたことがあります。これが素晴らしかった。普通ピアノを演奏する時は予めどんな和音を使って演奏するかはピアニストの場合用意周到に練習します。そこにアドリブの要素を入れてハーモニーに変化をつけようとすると入念に考えて弾かないと汚い和音を弾いてしまったり大抵は失敗してしまいます。が、このキースの「虹の彼方に」を聴くと内声で動いていく音が自由奔放で事前に仕込んでおいた譜面を弾いているのではないことが感じられました。当たり前ですが失敗しません。正に音のマジシャン。僕にはとても真似できない高度な演奏なのだと感心してしまいました。頑張って練習すれば少しはあんな風に自由にハーモニーで遊びながら弾けるようになるのでしょうか?キースのような天才にしかできない技なのかもしれません。


【結婚式に相応しい?】
この曲は結婚式とかに演奏すると相応しい曲かもしれません。虹の彼方に何があるのか人によって違いがあるでしょうがやはり希望を象徴するものがあってほしいと願うのが人情です。僕の場合はどうでしょうか。何が幸せか考えてみます。多分僕の場合は今の生活が何も変わらないことが幸せ。今の音楽生活が死ぬまで続くよう切に願います。


【気に入っているメロディ】
この曲で一番好きなメロディはサビの部分の「Someday I wish upon a star.....」と歌うところかな。「ミソミソ」とか「ファソファソ」とかを繰り返す単純なメロディなのですがそれがかえって良いのでしょう。何か好いことが起こりそうと思わせる、幸せな気持ちを感じるメロディですね。今日はこれでお終い。また明晩お会いしましょう。


[関連情報]
作詩:エドガー・イップ・ハーバーグ
作曲:ハロルド・アーレン


お気に入りの音楽千夜一夜 お気に入りの音楽千夜一夜 お気に入りの音楽千夜一夜 お気に入りの音楽千夜一夜    御感想、御指摘等のご連絡は、お気に入りの音楽千夜一夜までどうぞ