【幼いながら複雑な曲と感じた曲】
ジャズ・ピアニスト、エロール・ガーナーが作った美しいバラードです。僕が聴いたのがカーメン・マックレーがTVで歌っているのを見たのが初めてだった記憶があります。TVで見ると顔がアップで映りますがデラックスな睫毛を見て「瞬きの音がバシャバシャと聴こえてきそうだな」と親父が冗談交じりに話したのを妙に覚えています。野太いカーメンの歌声と初めて聴く複雑な未体験のジャズのコード進行と一緒にね。僕のソウル・ソングであるビートルズもよく聴くと結構面白いコード進行を使います。でも、ミスティはこれに輪をかけて変わったコード進行だなあと幼いながら感じました。僕の家は元々ジャズを聴く家庭ではなかったのでこのとき以降ミスティを聴くことは暫くありませんでした。
【大学に入って再会】
次にこの曲とであったのは大学に入りジャズをかじり始めてからです。僕が入ったBigBandサークルのレパートリーには「ミスティ」はありませんでした。が、練習の合間を利用して楽しむセッションを通してこの曲に再会しました。この曲の作者がエロール・ガーナーだということやコード進行の書いてある譜面も手に入りました。この曲のコード進行を見た時に複雑なコード進行ですがその進行具合がまるで均整の取れた女性の美しいプロポーションを見るような美しさに見とれてしまいました。複雑ではありますがこんなコード進行を思いつくのは凄いなあと思ってしまう。さらに聞いた話ですがエロール・ガーナーは譜面が読めない人だったらしい。ということはコードからメロディを思いついたのではなくメロディを思いついたらこんなコード進行になっちゃったということになるわけです。へたに譜面が読み書きできてピアノを弾きながら作ったと言うよりよっぽどかっこいいと思ってしまいます。こういうのを聞くと天性の才能の成せる技という気がします。ジャズに親しみ始めて色々な曲を知りましたがこの「ミスティ」はその中でもかなり好きな曲の部類に入ると思います。
【飛行機で着想した曲】
ところでこの曲はエロール・ガーナーが飛行機に乗って空の景色を見ているうちに思いついたらしいです。譜面が読めないということはエロール・ガーナーが鼻歌を歌ったのを聴いて誰かが採譜したということになりますがこの曲は鼻歌で歌うなどとんでもないです。広~い音域を使って歌わなければ歌えません。しかもどんどん転調するのでよほど正確に歌えなければ何を歌っているのかわからなくなってしまいそうです。よく採譜できたよなと思ってしまいます。
【歌ってみたい曲ではあるが】
この曲を地声で歌おうとすると上を目一杯にしてキーを設定しても最低音は蚊の鳴くような声でやっとこさ出る位で2オクターブ弱の音域が歌えないとうまく歌えません。歌手泣かせの曲ということがいえます。カーメンのような実力のある歌手でないと歌えない。僕もいつの日かうまく歌えるようになりたいと思いますがいつになることでしょうか?
今日はこれでお終い。
では、また明晩お会いしましょう。
[関連情報]
作曲:Eroll Garner
作詞:Johnny Burke