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お気に入りの音楽 千夜一夜       


  第76夜 ノーウェア・マン(Nowhere man)


【ビートルズ・ナンバー】
 ジョン・レノンの作ったビートルズのナンバー。アルバムでいうと「ラバー・ソウル」にはいっていたと思います。この頃のビートルズは音楽が変身する予兆期のような微妙な時期で好い味を出していると思います。これ最初がコーラスのアカペラで始まるって知ってました?4小節だけですけどね。バンドの演奏が入らないとコーラスの素晴らしさがよくわかります。こういう変わった入り方とかとても僕好みです。「お、何かいいことが始まりそう。」と思えて何かわくわくするんですよ。


【僕とビートルズの出会い】
僕とビートルズの出会いは父と母の家族構成が関係します。父は7人兄弟の末っ子、かたや母は9人兄弟の長女だったので母方の末っ子の叔父さんと僕の年はたった6歳しか違わないのです。世の中にビートルズ旋風が吹き荒れた頃僕はやっと小学1年生でした。叔父さんとの関係がなければビートルズなど知る由もなかったはずでした。ところが6歳年上の叔父さんはちょうど中学1年生。音楽好きで多感な年頃です。ビートルズ旋風に吹かれてビートルズに夢中になりました。そうすると叔父さんの家によく遊びに行っていた僕の兄貴と僕は影響を受けない訳はありません。まず兄貴がビートルズを好きになるまでそう時間はかかりませんでした。僕がビートルズを初めて聴いた感想を正直にいうとエレキ・ギターの音がどうも余り好い印象を持たなかったようで「変な音の音楽」と実は思っていました。ジョージのリードギターもちょっとイモなフレーズだったなあと...叔父さん曰く、「どうや、これがエレキギターっていうんやで」と気に入っている様子で暫くするとエレキギターの実物が叔父さんの部屋に登場し相当入れ込んでいることが伺えました。


【ビートルズにはまった小学生】
ビートルズが最初に出したアルバムは「ミート・ザ・ビートルズ」。4人の顔が黒の背景に顔半分ぐらい吹き出ているような写真のジャケットでした。叔父さんの家にいくとバック・ミュージックは当然ビートルズ。帰るまでずっと「ミート・ザ・ビートルズ」を聴いて帰りました。エレキギターは僕の心を躍らせませんでしたが「ミート・ザ・ビートルズ」の歌に段々と引き込まれていくのを感じました。引き込まれていくと人間「僕も同じように歌ってみたい。」と思うようになるものです。歌詞の英語を叔父さんにカタカナで書いてもらってそれをみながら歌うようになっていきました。しょっちゅう聴いていると不思議なものでレコードに合わせて段々歌えるようになってきます。小学1年生が英語も知らず見様見真似で大声で歌う。それが僕の叔父さんの家での過ごし方でした。


【ビートルズ教】
 まあこのころは一種の宗教のようなものでビートルズ教信者みたいな状態だったかもしれません。なにせ小学1年生ですからね。でも、叔父さんには感謝しています。きっかけが多少いびつでも小学生1年生でビートルズに出会えた経験は実に貴重です。僕の生まれ故郷は愛知県の木曽川が近い田舎町。小学校でビートルズを口にする友達は誰もいませんでした。6歳年上の叔父さんがいなかったらビートルズに出会うのももっと遅くなったことでしょう。ずっと知らずに人生を過ごしていたかもしれません。人間どんな些細なことでも知らずに生きることほどばかばかしいことはありません。アンテナはいつも高くかざしていたいなと思います。何でも触れてみて自分で選びたいものです、好きか嫌いか。


【ビートルズが歌の先生】
 さて、ビートルズ教徒になるとビートルズの全てが知りたいと思うようになりビートルズに関連したものは何でも欲しくなります。まずはレコードですよね。田舎町なので近くにレコード屋などという洒落た店はありません。30分かけて隣町のレコード屋に兄貴共々買いに行き手に入れます。レコードを手に入れた時って本当に嬉しいものです。次のアルバムが出るまでそれを毎日聴く毎日です。レコードが磨り減るぐらい聴くことになります。そうするとその当時はアルバムの曲順はおろか歌い方の細かいニュアンスに至るまで覚えてしまいます。今となっては懐かしい思い出です。僕自身の歌い方は多分ビートルズの歌い方をコピーして身に付けたといっても良いかと思います。が、これだけ聴き込むのも好いと思うから続けられる訳でやはりジョン/ポール/ジョージの3声コーラスに一番耳を傾けていたのではと思い当たりました。


【ビートルズが変わっていく】
 「ノーウェア・マン」もサビの部分はジョンのソロになりますがそれ以外は3声で同時にハモるビートルズの得意のコーラス・パターンです。ところでラバーソウルというアルバムは他にも良い曲が沢山入っています。代表的なヒット曲である「ミッシェル」も「ガール」もこのアルバムに入っています。しかしこの2曲は其々ポール、ジョンのリード・ボーカルを前面に押し出したアレンジになっていて丁度変わり行くビートルズを象徴する曲に感じられます。これはこれで好きですけどね。リードボーカルを前面に押し出しているといってもちゃんとコーラスは入っているんです、バック・コーラスという形で。このバック・コーラス、よく聴くとなかなか凝った作りになっていてビートルズが色々な音楽の要素を勉強して自分のものにしようという心意気みたいなものが感じられる気がするのは僕の一人よがりでしょうか。貴方もこのバック・コーラスに耳を傾けると違うビートルズのよさを発見できるかもしれませんよ。今日はこれでお終い。
 では、また明晩お会いしましょう。


[関連情報]
作詩:ジョン・レノン
作曲:ジョン・レノン



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