【時代がかった口説き文句】
古きよき時代のジャズのスタンダード・ナンバーで歌詞もメロディも気に入っています。思いを寄せる彼女を口説く歌です。が、口説き方がちょっと時代がかっています。とてもオーバーな表現を使います、例えばこんな風に....「雪の帽子のように覆われた豪雪の山に登ってみせる。嵐が来た荒波の海へも漕ぎ出してみせる。灼熱の地獄のような砂漠も渡りきってみせる。...もし、君が傍にいてくれたなら」
【大言壮語だけど嫌いじゃない】
君が傍にいてくれたら勇気百倍になって何でもできるようになっちゃうんだよと彼は言いたい訳ですが今時こんな大袈裟なことをいっても世の中の女性は振り向いてくれないだろうなあなどと冷静に思ってしまいます。昔の歌の歌詞にはこの曲のような大袈裟な恋の歌を見かけた気がしますが最近はとんとお目にかかりません。時代の流れでしょうか。別の言葉で言えば「大言壮語」って言葉がピッタリですよね。現代では成功率ほぼ0%の口説き文句ですがムダなものと切り捨ててしまうのは何か引っかかるものがあります。合理的に考えれば捨ててしまえという結論になることは必至ですがそうしてしまっては身も蓋もありません。こういう表現は成功しないにせよ僕自身決して嫌いじゃないです。こういう心意気が大事だと思いませんか?彼女は獲得できませんが....
【女性が歌う歌じゃない?】
この曲、色んな人が歌っています。僕が好きなテイクはちょっと変り種で「ダイアナ・クラール」が歌ったものが好きですね。この曲の雰囲気とはイメージの違うので少し違和感を感じますがかなりモダンなピアノを本人が弾き語るスタイルで歌われます。もう1つ違和感があるのがこの曲の歌詞の内容から見てどう考えても男性が女性を口説く歌だと思うのですがそれを女性であるダイアナ・クラールが歌っていること。どういう気持ちで歌っているのか聞いてみたいとつい思ってしまいます。まあ男女平等の世の中です。女性が大言壮語で男性を口説くことがあってはいけないことはないのでダメとは言わないことにします。とまあ違和感を感じることが多いテイクですがそういう些細なことを除けば音楽的には素晴らしい出来でダイアナの魅力が大いに発揮されています。
【サビは短調は特許に値する】
この曲は最初長調で始まるのですがサビから短調に変わります。この時代に作られた曲は結構このパターンで作られた曲が思い浮かびます。例えば「メモリーズ・オブ・ユー」、「ジーズ・フーリッシュ・シングス」等の曲がそうだと思います。個人的にこの展開は大好きでサビに短調に変わり何とも言えぬ哀愁漂う雰囲気に浸ると小さな幸せを感じざるを得ません。誰が最初に考えたのか知る由もありませんが初めてこのパターンの曲を作った人は発明者として特許を取ってもいいぐらいの価値があるのではないでしょうか。音楽は著作権で作られた作品を保護されていますがこういう構成の素晴らしさみたいなものは権利を主張する法律がありません。片手落ちって気がします。但し、権利の行使も度が過ぎると考えものです。権利の行使で音楽活動の自由が奪われれば音楽も発展しなくなる可能性があるからです。こっちを立てればあっちが立たず。難しいものです。
【CMはスタンダード・ジャズの宝庫】
この曲ははるか昔古き良きスウィング時代のアメリカで誕生しました。時代の流れがあるので致し方ないのですがこんなに良い曲なのに現代で脚光を浴びる機会に恵まれることはまずないと思います。でも、最近気が付いたのですが意外なところでこれらの忘れられた往年の名曲に巡り会えることを知りました。え、いったい何処かって?うんうん、物凄く知りたいでしょう。お教えします。それは、テレビで流れるCMのバック・グラウンド・ミュージックです。よく聴いていると古めの名曲が意外とよくかかります。CMのクリエーターさんの中に僕が思うように「イフ・アイ・ハッド・ユー」みたいな名曲がなんでもっと流れないだろうと思う方が沢山いらっしゃるのではなどと想像すると何だか楽しくなってきます。だから最近テレビのCMを見るのはちょっとした楽しみ。若い頃は「まだ、CM終わんないのかよぉ」とイライライしながら見ていた記憶があります。同じものを見るにしても見方が変わればつまらないと思っていたことも楽しめることがあるんだなと実感しました。古い名曲をこれからも沢山覚えて、CMで流れた古き良き名曲を聴いて「おおこの曲はイフ・アイ・ハッド・ユーだな」とほとんどの題名を言い当てられる爺さんになりたいものです。ちょっとカッコ良くない?今日はこれでお終い。
では、また明晩お会いしましょう。
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