【不倫の歌】
題名から解かるようにこの曲は人妻との恋を歌った歌です。要するに、不倫の歌ですね。Billy Paulというひとが歌っています。僕の場合、一番最初にこの曲を聴いたのは学生のR&Bバンドの演奏で知りました。このバンドは結構有名なバンドでダンス・パーティの演奏を頻繁にやってました。何でそんなことを知っているかというと僕がはいっていたビッグバンドサークルのダンス・パーティの出演の際によく相バン(相手バンドという意味)で見かけたからです。
【毎日ダンパで演奏を聴く】
普通ダンス・パーティの場合ダンスが踊れなければしゃれにならないのでパーティの間はずっと音楽が流れ続けるのが通例です。だから2つバンドをやとって30分交代で演奏するようにします。だからダンス・パーティで演奏する時は必ず相バンがいるというわけです。もうちょっと詳しく説明すると、僕の入ったビッグバンドサークルも昔から活動していたサークルなのでダンス・パーティの演奏は頻繁に話が来るようでサークルにはいったばかりの頃は楽器運びでよく借り出されました。レギュラーメンバーはダンス・パーティで演奏します。楽器の片づけがあるのでそのまま帰るわけには行きません。演奏中は特にやることはないのでみんな大抵はレギュラーメンバーが演奏するのを聴いて時間をつぶします。演奏が終わると片付けて楽器を運びます。これが、ほとんど毎日のように行われました。
【生のサウンドはやっぱり違う】
僕もいつかはレギュラーメンバーになってやると頑張りましたがピアノのうまい人は他にもいて残念ながら夢は叶いませんでした。でも、こういうダンス・パーティでの演奏を聴くことはとても好きでした。ブラスセクションの重厚なアンサンブルは、CDで聴くのと、実際の生の演奏を聴くのとは大違いです。かなりでかいスピーカと好いステレオ機材がないと生演奏の醍醐味は再現できないのではないでしょうか。毎晩、レギュラーメンバーが演奏するビッグバンドの演奏を聴いて古きよき時代のスウィング・ジャズを満喫できたかななどと当時のことを思い出します。
【相バンが演奏した曲】
うちのサークルは往年のベイシー楽団や当時脚光を浴びていたサド・ジョーンズの曲をレパートリーにしていて結構僕好みの曲が多かった気がします。そのダンス・パーティの相バンで出演していたR&Bバンドも古い曲を中心にレパートリーを持っていて彼らの演奏を聴くのも楽しみの1つでした。この「Me and Mrs.Jones」はチークタイム(チークダンスを踊れるバラードを演奏する時間帯)になると必ずこの曲を演奏していたのですが良い曲なのでだんだん気になってきます。しばらく慣れてくるとそのバンドのサークルのメンバーと友達になったりするのである日、あの曲はなんて曲なの?と質問してみました。返ってきた答えが「Me and Mrs.Jones」だったわけです。結局、2年間ぐらい在籍していましたがビッグバンドサークルは、やめて他のサークルにはいったのでそれ以来「Me and Mrs.Jones」を聴くことはありませんでした。ところが、またこの曲に遭遇する機会がやってきます。
【本物の音源をようやく聴いて】
学生時代、ジャズサークルの仲間の紹介で赤坂の「PoPo」というお店でアルバイトすることになりました。それまではジャズピアノがうまくなりたくて一生懸命練習していたので歌を歌うことにはまったく無頓着でした。ところが、ある日聴いたビリー・ジョエルがきっかけで弾き語りをできるようになりたいと思いはじめ歌を歌うということに初めて目覚めました。(詳しくは、第4夜参照)練習を重ねて「PoPo」でお客さんの前で何とか歌えるようになったのですが、ある日「PoPo」に出演していた時にあるお客さんからこの曲を弾き語りで弾いたらいいんじゃない?とレコードを渡されたんですが、ジャケットを見ると「Me and Msr.Jones」と書いてある。Billy Poelのオリジナルはこの時初めて聴きました。ちょっと癖のあるフェイクを利かしたソウルフルな歌い方がとても気に入って大好きな曲になりました。
【歌詞はやっぱり不謹慎】
ところで、歌詞でこんなくだりがあります。
6:30 I know she'll be there.
Hoding hand,making all kind of plan.
Jukebox plays our favorite song.
何と不謹慎な歌なんだろう。許せないと思う反面何か羨ましい気もします....機会があったら僕も...とは言わないまでも、いわば禁断の果実を食べるというのは格別な味がするんだろうなあと思います。
【JukeBoxの思い出】
歌詞の中にでてくる「Jukebox」って最近は知らない人も多いんじゃあないかなあ。僕が子供の頃には結構見かける店がありました。時代と共に段々なくなっていったような気がします。お金を入れて好きな曲のボタンを押すとアームでレコードが運ばれて自動的にターンテーブルにセットされます。針も自動的に落ちてきて曲が流れる機械です。透明なカバーで中の様子が見えるようになっていました。小さい頃、器用な機械だなあ思って、その動きを目で追うのがとても好きだったことを覚えています。1曲終わるともう1曲かけてもらおうと親にせがんで....この曲を聴くとそんな幸せな少年時代を思い出させてくれます。この曲はそんなとっておきの曲なんです。今日はこれでおしまい。
では、また明晩お会いしましょう。
[関連情報]
Song Writer:Kenny Gamble, Leon Huff and Cary Gilbert