お気に入りの音楽 千夜一夜
【有名なアニメのテーマソング】
きっとどこかで聴いたことがあるディズニー映画「白雪姫」のテ－マソングです。JazzManは、この曲が好きで色々な人が取り上げてカバーしています。カバーするとは、既にある曲を自分なりのアレンジを施して演奏することを言います。こういう風にアレンジされた曲をカバーソングと呼んだりします。「いつか王子様が」のベストカバーソングは？と聞かれたら私は迷わずマイルス・デイビス(Miles Davis)と答えます。
【ウィントン・ケリーの神懸かったイントロ】
左の写真はこの曲がはいっているマイルスのアルバムの写真ですが、写っている人はちなみにマイルスの奥さんだそうです。綺麗な人ですね。マイルスのこのカバー曲は、ベースのペダルトーン（第５夜参照）ではじまりウィントン・ケリーが奏でる教会の鐘の音を連想させるピアノソロに繋がっていきます。このピアノ・ソロはめちゃくちゃ好きです。マイルスと一緒に演奏することで多分神懸かり的な凄さを発揮できたのではと勝手に想像してしまうのですがオーラをビンビン感じる演奏です。このピアノ・ソロはほんとに好きで大学の頃、そっくりそのままコピーしちゃいました。サークルでピアノ・トリオで演奏する場合、このイントロで始めてちょっとウィントン・ケリーになったつもりで演奏するのが好きでした。コピーしたそのままに実際に弾いてみるとほんの少しケリーになれたような気がして嬉しかったなあ。
【行き過ぎる？ペダルトーン】
ところで、ペダルトーンの話に戻りますが、普通はイントロが終わったらペダルトーンも終わるのが普通のパターン。ところがです！この曲の場合マイルスが主題のメロディを吹き始めても終わらない。こんなコードのところでペダルトーンしてもいいんだろうかというところまで続いてしまう。（８小節続きます。）初めて聴いた時は「おいおい、ベースがペダルを止めるのをわすれちゃってるよ！」と思ってしまいましたが何回も聴くとわざとそうしているんだということが段々判ってきました。敢えてこういう反則技を行うことによってこのイントロをはみ出したペダルトーンは今までにない不思議な雰囲気を醸し出します。「いつか王子様」の最初のコード進行は、Ｂ♭ Ｄ７ Ｅ♭ Ｇ７ Ｃｍ７ Ｇ７ Ｃｍ７ Ｆ７となりますが（各コードは１小節単位に変わります。）、ペダルトーンはＦなのに対してＤ７のコードにはＦ♯が含まれるので半音でぶつかり変な音になるような気がしますがピアノで弾いてみるとなかなかおつなサウンドになります。マイルス（考えたのは他のメンバかもしれませんが？）はエライなあとつくづく思うのです。
【ペダルトーンへの思い】
ところで、僕はペダルトーンって昔から好きなのでうまく取り入れている曲とか聴くと思わず真剣に聴いてしまう習性があります。この「お気に入りの音楽千夜一夜」でもこの曲の他に多分ペダルトーンの話題が登場することがあると思います。ペダルトーンはなかなか素晴らしい発想だと思うのです。音程を変えないという１つの制約を課して他の音を作り上げていくという考え方ですよね。これが何の制約もなく自由きままにということになると焦点がなかなか定まらずにボケた音楽ができてしまう気がします。音楽を作る時は１つ明確な方針みたいなものを思いつくとよりうまく作れる気がします。僕にとってはペダルトーンはそういう意味で焦点の定まった音作りのヒントを与えてくれる手法の１つと思えます。
【僕的アレンジの構想】
最近、あまりジャズピアノのことを考えたりすることが少ない。昔を思い出してこの曲を題材にアレンジした作品を作ってみたいなあと思う今日この頃．．．．こんな感じで作りたい。イントロはマイルスとケリーに敬意を評しこの曲になるべく忠実に再現する。ペダルトーンもそのまま真似する。メロディは、もちろんコーラスが登場。この強引なペダルトーンの上に乗ってハモッたらさぞインパクトのある響きになるのではないかとわくわくする。こんな風にカバーソングとしてそのうち作ってみたいなあと昔から思っていますがなかなか実現しません。
今夜は、これくらいでおやすみなさい。また、明晩お会いしましょう。
[関連情報]
作曲:Frank Chuchill
作詩:Larry Morey
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