貸スタジオの小さな幸せ その5



5.最新機種のキーボードで遊べる幸せ



貸スタジオに通い続けるうちに1つ気が付いたことがあります。キーボードが昔のお世辞にも良いとはいえないものから最近、最新鋭の機種に入れ替わっていたことです。最近の技術進歩は目覚しく機種が変わると前の機種の常識は通用しないと思ったほうが良いほど操作方法が変わります。機能も新しいものがふんだんに取り入れられているはずです。使うほうは辛いですが新しい機能を使えるのであれば致し方のないことだと納得できます。貸しスタジオでのキーボードの用途は主に歌を歌う際の音程の確認に使っているですがせっかく最新機種があるのです。もっと賢い利用価値がありそうですよね。


一度こんなことがありました。いつものように歌を録音しようとしたのですが、PCノートがうまく立ち上がってくれません。貸しスタジオは時間との勝負。2時間借りているのでこのままだとPCノートと戯れて何もできず終わってしまいそうです。それぐらいなら、歌の録音はきっぱり諦め弾き語りの練習でもするかと思い立ちその時初めて最新鋭のキーボードとまともに向き合いました。そうなると人間というものはげんきんなものでキーボードに対する見方ががらっと変わります。でも、最新機種だけのことはあると思いました。


まずはキーのタッチです。昔のシンセのようにペラペラなタッチではなく本物のピアノのようにしっかりした手応えがあります。「おお、何か弾く気がする」と感じて弾きたい気持ちが段々高まってきます。せっかく貸しスタジオにきているのです。遠慮はいりません。これでもかという大音量にして弾いてみます。これが期待していた以上になかなか迫力のある音が出るではないですか!さらに気に入ったのは強いタッチで弾いた時には弾いた強さに比例して堅めの音で音量も大きく鳴ります。ちょっと強調しすぎの感もありますがこれだけ条件が揃えば僕にしては十分弾く気満々になります。


じゃあ、1曲弾く前に音色を選んでみようとボタンを適当に押してみます。昔経験したおもちゃのような音と違いどのプリセットもなかなか重厚な使える感じのする音です。どれもライブですぐ使ってもさまになりそうです。「なるほど、なるほど」と一人で感心してしまいます。音色によっては低音部の音色がベースの音に切り替わるように仕掛けがしてある音色があったりこの音はどっかで使い道がありそうだなどとまるで僕の所有物のように考え始めている自分に苦笑しながら1曲通して弾いてみました。「んーっ」素晴らしいの一言でした。欲しくなっちゃうなあ。


ところでここまで色々いじってみて使ったボタンの数は全体の2割程度でほんの基本的な機能しか使わなかった感じでした。これ以外にどんな最新鋭の機能が搭載されているんだろうと想像するとワクワクしてしまいます。残りの機能はろくに確認できないままあっという間に時間は過ぎてしまいましたが、とても楽しい一時を過ごせました。思えば怪我の功名というか、PCノートの調子が悪くなければ、ずっと気づかなかったかもしれません。これから少しずつで良いから貸しスタジオでキーボードを少し触ってみる時間を作ろうと思います。最近の楽器は日進月歩。浦島太郎にならないようにそういう努力をするにしくはなしです。


これが僕の小さな幸せ。でも、これで終わりじゃないよ。次の幸せは次回説明することにします。では、次回にまたお会いしましょう。


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