音楽に魔法をかけよう


1.2)番外編:いうことをきかないコンプレッサ~
     思い通り圧縮できないもどかしさを解消する


【いうことをきかない?コンプレッサ】
 さてコンプレッサはうまく使えているでしょうか?今回は僕が実際にコンプレッサを使い出してずっと悩んでいたことがありふとしたきっかけで解決できました。その経験談を話してみたいなと思います。何を悩んでいたかって?それはコンプレッサの圧縮が思い通りの結果にならないこと。例えば作ったMIXの中に大抵数箇所突出したレベルの波形が現れます。ちょうどどの楽器も同じタイミングで音を出した時とかにこういう波形になると思います。その突出した波形のせいでノーマライズしても全体のレベルが思うように上がりません。ヒゲのように突出した部分をうまく圧縮したいと思うのは当然の成り行きです。ヒゲのような波形です。一瞬なので沢山圧縮しても耳で聴いて違和感もなさそうです。で、これを実現しようとパラメータを色々いじり試してみるのですがいつもうまく行きませんでした。いや、うまくいくこともあるんです。でも波形によってどうしても圧縮できない波形がでてくるので何故なのかずっと疑問でした。色々試してもみました。

【試行錯誤すれど...】
 最初思いついたのはアタックを0msにしてスレッショルドを浅めに設定すること。こうすれば飛び抜けた波形にだけコンプレッサがかかり大部分は影響を受けません。確かに波形は圧縮されました。しかし聴いてみると圧縮した部分にプチっとノイズがはいるは音量が極端に変化するように聴こえ不自然この上ないのです。0msなどという極端な設定は止めたほうがいいんだなと結論を下してしまったのが間違いの始まりでした。結局アタックを1~10msぐらいに設定して色々試行錯誤しましたがどうしても圧縮できない波形が出てきてしまう状況は変わりませんでした。僕の七不思議の1つみたいになってしまいました。こうなると素人の悲しさで疑問は解消せず運良く圧縮できれば喜び圧縮できなければ諦めざるを得ませんでした。

【インターネットで見つけた答え】 そうこうしているうちに疑問は解消されないまま2,3年経ってしまいました。ある日作ったMIXがいつものように思い通り圧縮できないので悩みを思い出し再度インターネットで調べてみることにしました。とうとう見つけました、コンプレッサの上手な扱い方。こういうことが書いてあるサイトはなかなか見つかりませんから喜びもひとしおです。 [RMSコンプレッサ設定例]
音楽に魔法をかけよう コンプレッサー
【RMSタイプコンプレッサ】
どうですか?最初これを見て思ったことはアタックが1.1msに設定されていることに驚きを隠せませんでした。こう設定してしまうとノイジーな不自然な音になってしまいそうですがもう一工夫することで見事に問題を解決しています。ノイジーな音にならないようにRMSタイプのコンプレッサを使うという方法で対処しています。コンプレッサの効果のかかり具合を調整できる能力を持っているのがRMSタイプのコンプレッサです。ノイジーな音は針のような極端に変化する波形が原因ですがRMSタイプのコンプレッサをかけるとあらら不思議ノイジーな感じはなく波形も思い通り圧縮できました。RMSタイプのコンプレッサがあることは知っていましたがどういう時にどう使うのか見当も付きませんでした。考えてみれば強力な魔法の杖が傍にあるのに使い方がわからないので価値を見出せず「猫に小判」の状態がずっと続いていたわけです。よくわからない状態で試行錯誤している時というのはこんなものかもしれません。後から考えると何をしてたの?って感じですが本人はこれでかなり必死だったのですよ。

【マキシマイズ前処理で使う】
 さてこの魔法色々な有効な使い道が考えられます。まず最初に最終MIXで音をマキシマイズ処理する際の前処理での使い方が考えられます。飛び抜けて不用意に大きなレベルを押さえてノーマライズした後にマキシマイズ処理を行えばより大きな音量のMIXを作れる期待が持てます大きい音がいいとは限りませんが音が大きければインパクトは確実に高まります。いつも中途半端にしか圧縮できていなかったので2~3dbぐらいは余裕で稼げそうです。

【MIX前処理で使う】
 次にMIXを作成する段階での使い道が考えられます。MIX前の各トラックにこの魔法を適用し不用意にデカイ音を押さえ込むことによりプチ・ノイズなどの発生頻度を確実に減らすことが出来ます。プチ・ノイズは1箇所でもあるとその作品が台無しになってしまいます。飛びぬけた波形はトラックの波形を見ると結構いっぱいあるものです。(作り方が悪いのかもしれませんが...)波形を押さえ過ぎると迫力がなくなってしまってかえってよくない場合もあります。飛び抜けた波形を押さえ込むことによって全体のレベルをより上げて再生しても大丈夫な場合が増えてくると思います。

【低音音質改善で使う】
 さらに低音の音質を改良する使い方が考えられます。例えばアコースティックベースの音を録音したトラックやボーカルの一番低いパートトラック等に使ってみるわけです。前ページの解説で説明した音を潰す設定以外にこのRMSをかける方法で潰した場合の音質がどんな感じになるか興味深々です。上の2つの使い方がMIXをうまく作ることに注目した使い方ですがこちらのほうは積極的に音を変えることに注目した使い方ということが出来ます。

【あとがき】
 ということで素晴らしい魔法の道具、RMSコンプレッサを手に入れることができました。ここに書いてあることは僕のつたない3つの使い道しか書いてありません。アイデア次第ではあっと驚く別の使い方を貴方自身で発見できるかもしれません。そうなったあかつきには僕にもそっと教えてくださいね!笑)この新たな魔法で素敵な音楽が作れますように...それではまたお会いしましょう。


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