音楽に魔法をかけよう
1.2)プロの音に近づける~コンプレッサの使い方
わかりにくいエフェクタの1つであるコンプレッサー。どう使えば良いのか、何故必要なのかを解説。
【コンプレッサの2つの用途】
具体的にコンプレッサをどのように設定すればいいか説明します。概要で述べたように、コンプレッサは2つの働きがあります。音をパキパキにする使い方と、音を潰す使い方です。高音、中音(ギターやピアノ)は、音をパキパキにする設定、低音(ドラム、ベース)は音を潰す設定をします。こうすることによってギターやピアノは輪郭がハッキリし、ドラム、ベースは音の締まった、ぶよぶよ感のない音になります。でも、これはあくまで簡易的な方法です。プロは1楽器毎に設定をするらしいです。私のいう通りMixして気に入らなかったら、1楽器毎やってみればよろしい。恐ろしく時間はかかるけど....。原理を説明します。
【理解を助ける参考書】
では、具体的な設定方法を説明しましょう。僕はMusic Studio StandardというMIDIシーケンサ に付属しているプラグイン・コンプレッサを使っています。その設定方法が下の説明の右の図です。 断っておくけどこれからの説明を理解するためにはコンプレッサの教科書 の読破が必要です。読んでいないとチンプンカンプンだと思います。初心者向けの説明はしないので必ずこれを読んでください。
1)音をパキパキにする設定
左の絵を見て下さい。青の部分が元の音で、コンプレッサをかけると赤の部分のように最初の部分はそのままで後ろのほうで音を潰すことにより音を尖がらせることができます。こういう波形に加工する事により音をパキパキ にすることができるわけです。主にギター、ピアノなど中音から高音を発する楽器の音を処理するのに使います。
Metamor1のお薦め設定値は下記の通り。(右表参照)
・スレッショルド -6.0db
・レシオ 4:1
・アタック 23ms
・リリース 150ms
・アウトプット 0.0db
えっ、やってみたけど音がフニャフニャに聴こえる様になったって?そういう場合はスレッショルドを-3.0~-4.5dbに設定してください。どうですかおさまりましたか?えっ、まだダメ?それではレシオを2:1~3:1に設定しなおしてください。今度は大丈夫ですね!これで貴方は晴れて、パキパキの音を手に入れることに成功しました。なにっ、コンプレッサかける前とそんなにかわらないって?いいえ!確実に変わっています。安物のヘッドホーンで聴いちゃあ違いはわからないですよ!スピーカで聴いてクリアな音を手に入れたことを実感してほしいな。うんうん、どうしてそうなるのか理屈がわからないって?そういうエンジニア指向の方の為に後日解説を追加する予定です。今しばらく待っててください
2)音を潰す設定
左の絵を見て下さい。青の部分が元の音で、コンプレッサをかけると赤の部分のように最初の部分から音を潰しはじめレベルが下がった時点でもとに戻します。こういう波形に加工する事により音の粒が揃い ぶよぶよ感を緩和することができるわけです。主にベース、ドラムのタイコ系の低音を発する楽器の音を処理するのに使います。 コンプレッサは、RMS付きのコンプレッサを使います。上記のコンプレッサに比べて自然な感じで圧縮できます。
Metamor1のお薦め設定値は下記の通り。(右表参照)
・スレッショルド -26.0db
・レシオ 2:1
・Peak-RMS 206
・Soft-Hard 77
・アタック 6ms
・リリース 150ms
・アウトプット 0.0db
スレッショルドは、どの音も潰すぐらい深いところに設定します。上の設定に比べ、アタックは短く設定します。短くといっても0にしちゃあダメですよ!プツプツノイズが乗るし、音の輪郭のなくなったほんとにもこもこの音 になります。
[やってみたけど何も変わらないと感じた人へ]
コンプレッサは、効果がわかりにくいエフェクタです。ほんとに効いているかmetamor1も不安になることがあります。注意深く聴いてもやはり変化がないとガッカリしてしまいますが、気を取り直して以下に書いてあることを試してみてください。音の録音レベルによってはコンプレッサが効かない場合があります。適切なスレショルド・レベルの設定は、録音された波形がどれくらいの録音レベルになっているかにらめっこしながら決めるのが最もよい方法だと思います。
図1_1_1をみてください。この場合はコンプレッサの効果が確認できるはずです。青線がスレッショルド・レベルを示し一部の波形がスレッショルドを超えて飛び出していますね。波形とスレッショルドがこのような状態になっていれば適切なスレッショルドを設定しているといえます。ところが、図1_1_2の場合は、コンプレッサは効きません。どう注意深く聴いても元の音と同じです。なぜなら図1_1_2の場合、スレッショルドレベルがどの音の波形にも触れていません。ですから、もっとスレッショルドレベルが-6dbの場合は例えば-12dbとかに値を変更してやれば変化が確認できると思います。コンプレッサをかける場合は録音した波形がどれくらいのレベルにあるか確認して波形のレベルが大きい時は-3~6db、波形のレベルが小さい時は例えば-10db以下で確実に波形と触れるレベルを設定すればうまくいくと思います。余談ですが物凄く低いレベル(-30dbとか)にスレッショルド・レベルを設定しなくてはならなくなったらそれはもともとの録音が小さすぎます。録りなおすべきだと思います。
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