お気に入りの音楽千夜一夜 お気に入りの音楽千夜一夜 お気に入りの音楽千夜一夜 お気に入りの音楽千夜一夜
お気に入りの音楽 千夜一夜

お気に入りの音楽 千夜一夜       


  第80夜 ジーズ・フーリッシュ・シングス(These foolish things)

【大人の歌】
ジャズのスタンダード曲。ゆっくり目の4ビートで演奏されることが多い曲でメロディは当然気に入っていますが歌詞が何となくセンスの良さが感じられて好きです。メロディともなかなかフィットしている気がします。「何気ないくだらないものでふとあなたを思い出してしまう。」という内容で大人の歌という雰囲気が感じられる素敵な歌ですね。


【デカダンスを感じる歌詞】
その何気ないくだらないものというと例えば口紅の跡の付いたタバコの吸殻、素敵なところへ行ける飛行機のチケット、隣の部屋から聴こえて来るちょっと調子はずれのピアノの音などが登場します。何となくちょっとデカダンスを感じませんか。こういう雰囲気って何か好き。思い出に浸るって言うか言葉の端々からそんな雰囲気が漂ってくるような気がします。要するに恋は終わりあなたのことはもう忘れようと思っているのにふとしたきっかけであなたのことを思い出してしまうという訳です。


【思い出が蘇るもの】
この曲に出てくるような思い出が蘇るものって誰でも1つや2つは持っているかもしれません。楽しい思い出ならよいのですが辛い思い出の場合もあります。僕の場合思い出が蘇るもので思いつくのがレコードのジャケットです。そうしょっちゅうではありませんがお気に入りのレコード・ジャケットを見るとその頃の思い出が蘇る時があります。


【レコード事件】
レコードといえばもう過去の遺物に近いものになってしまいました。レコードで印象に残っているのがCDが台頭してきた頃の話。これはどちらかというと嫌な思い出に属する話かも知れません。元々音楽は好きなので友達と話をしていてこのレコードがいいらしいとか聞くと欲しくなってレコードは2,3ヶ月に1回のペースで買っていた時期がありました。ちょうどCDが店頭に出始めた頃ピカピカしていて綺麗な媒体だなあと呑気に見ていたのですがこの後CDのことを良く思わなくなる事件が勃発します。その頃CDはレコードに替わる次世代の音楽メディアとして注目を集めていました。レコードよりコンパクト、デジタルだからノイズがない、高音質などなど良いことずくめです。2,3年のうちに段々CDに変わっていくんだろうなと漠然と思っていたのですがそれが甘かった。そういえばしばらくレコード屋さんに足を運んでいないなあと渋谷にレコードを買いに行こうと思い立ち何を買おうかルンルン気分で店内を見回すとCDばかりやたらと並んでいます。「おお、随分CDが台頭してきたなあ。」と思いながらレコードを探し始めて思わぬ事態になっていることにようやく気が付きました。


【ガラにもなくすねた結果...】
ないんです、1枚も。僕の探し求めているレコードが!!!僕の期待を裏切り物凄い速度でレコードからCDへの世代交代が進んでいたんですね。僕が気がつかなかっただけですがカルチャー・ショックに近い衝撃を受けました。アンテナが低いよと言われればその通りですが...もうレコードが1枚も買えないのか。これからどうすりゃいいんだ。泣きたくなる気持ちでした。貴方はCDプレイヤーを買えばいいじゃんと思ったかもしれません。確かにそのほうが合理的ですよね。でもその時は虫の居所が相当悪かったのでしょうか?そういう気持ちにはどうしてもなれませんでした。長い間親しんできたレコードがあっという間になくなってしまったことあまりにも寂しい気がして心情的に影響したのかもしれません。結局この日を境にCDもレコードも買うことを止めてしまいました。まあわかりやすくいえば子供のようにすねてしまったというわけです。結局5,6年そういう状態が続いた後忘れた頃にCDプレイヤーを買いました。そういう経験をしたせいでCDは何となく嫌いなんです。とてもくだらない理由ですがそう思ってしまったのだから致し方ありません。


【すねた人の気持ち】
この時思ったのですが人間一度すねてしまうとなかなか元に戻れないものです。実際に体験してみないとわからないかもしれません。周りにいませんか?すねた人。この経験をするまでは周りにそういう人がいると「何をそんなくだらないことですねてんのかなあ」と理解すらしようとしませんでしたが今だったら多少その人の気持ちが理解できる気がします。嫌な経験も意外なところで役立つものです。貴方の傍にすねた人がいたら自分の心が許す限り温かく見守ってあげましょう。


【神経が逆撫でされるということ】
まかり間違っても「お前、くだらないことで何をすねてんだよ」という暴言を吐いてはいけません。爆弾のスイッチを押すに等しい行為です。本人も思っているのですよ。貴方と同じように「なんでこんなくだらないことですねちゃったんだろう」って。わかっちゃいるけど抜け出せないで困っているところにそんなことを言われたら神経を逆撫でされ僕だったら逆上してしまうかも。人間わかっているのにできないことを他人から指摘されるほど嫌なことはありません。僕は絶対に嫌。まあ合理的にいかないのも人生。それを甘んじて受け入れるのも人生。人間って本能半分と理性半分で生きているからこういうことが起こるのかもしれません。厄介ではありますがまあだから面白いともいえます。ユーモアと知恵で人生うまく楽しく乗り切れればよいのですが.... 今日はこれでお終い。
 では、また明晩お会いしましょう。


[関連情報]
作詩:
作曲:



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