お気に入りの音楽千夜一夜 お気に入りの音楽千夜一夜 お気に入りの音楽千夜一夜 お気に入りの音楽千夜一夜
お気に入りの音楽 千夜一夜

お気に入りの音楽 千夜一夜       


  第78夜 君が代

【君が代は好きですか?】
日本人なら誰でも知っている国歌「君が代」。実は僕のお気に入りの曲の1つです。断っておきますが政治的な背景は何もありません。音楽的に気に入っているのです。具体的に何を気に入ったかというとブラス・アンサンブルで奏でられるアレンジに感心して好きになりました。


【突然気が付いた!】
君が代を最初に聴いたのははっきり覚えていませんが小学校1年生の時ではないかと思います。小学校で行事があるときには大抵君が代が流れます。バージョンは1種類でいつも同じものが流れるので慣れてくるとどんな風に演奏しているのか細部までわかってきます。暫くは別にこの曲を聴いても何とも思いませんでした。が、5年生の頃でしょうか?いつもと同じように君が代が流れたのですがこの日突然この曲のアレンジが素晴らしいものだと感じたんです。この日は特別感受性が強かったのか良くわかりませんがこのアレンジした人は只者ではない、色々なアイデアが盛り込まれている非凡な作品なのだと聴きながらそう感じたんです。そういうことは珍しいことです。僕自身ちょっとビックリしました。この日を境に君が代が流れると真剣にじっと耳を傾けて聴くようになりました。


【素晴らしいアレンジ】
ちょっと具体的に挙げてみましょうか。最初の2小節は金管楽器の厳かなユニゾンで始まります。これにはアイデアが1つ盛り込まれています。3小節以降奏でられるアンサンブルのハーモニーをより際立たせるためにわざと2小節敢えてユニゾンで始めたというアレンジャーの意図が感じられます。3小節目以降は金管楽器のアンサンブルが展開されます。インターネットで色々調べてみましたがこのメロディは日本古来のメロディではなく明治時代に新たに作られたものだそうです。近代に作られはしましたが、日本古来の雅楽の雰囲気を漂わせる独特のメロディなので実際にハーモニーをつけることって物凄く難しかったんじゃないかと思えてきます。例えば貴方の頭の中でメロディが思い浮かんだとします。そのメロディは多分知らず知らずのうちに今まで聴いた音楽の伴奏を参考にしてメロディを思い浮かべているのではないでしょうか。そうやって思い浮かべたメロディならいざ知らず君が代のような型にはまらないメロディの場合は創造力なくしてうまくハーモニーを付けられない気がします。かなり苦労したんじゃないかと考えてしまいます。ハーモニーをただ付けるだけなら誰でも出来るかもしれません。聴いて素晴らしいと思える端正なハーモニーをというと誰でもというわけにはいかないと思います。


【フランツ・エッケルト】
調べた結果最初にこのメロディを吹奏楽にアレンジをしたのはドイツ人のフランツ・エッケルトという人だそうです。小学校で僕が聴いたアレンジの君が代がこの人のアレンジのものかどうかまでははっきり判りませんでしたがこの人のアレンジのセンスの良さに反応してこの曲を好きになったのかなと思うとちょっと親近感が湧いてしまいます。君が代は短い曲です。試しに何小節あるのか数えてみました。たった12小節しかありません。この12小節に凝縮されたアンサンブルの妙、とても濃い味の料理という感じがします。そういえば一時「君が代」が嫌われて色々話題になったことがありました。小学校で国歌を流すのは止めようとか....今はどうなんでしょうか。昔のように行事がある時には流れているのでしょうか?


【国歌色々】
ところで学校を卒業してしまうと国歌を聴く機会は少ないですよね。他の国の国歌となるとさらに機会は少ないです。オリンピックとか見ていると表彰式で金メダルを取った国の国歌が流れたと記憶していますが聴く機会は4年に1回ですからメロディなどほとんど覚えていません。僕自身知っている他の国の国歌はアメリカとフランスの国歌ぐらいです。フランスの国歌は何故か縁があります。1つは、ビートルズの「All need is love」という曲のイントロに使われたこと。最初は知りませんでしたが誰かが教えてくれてフランス国歌なんだということを知りました。ちなみに、「All need is love」はレコーディング風景を全世界ネットで放映するという試みが行われました。時差があるので日本での放映時間はなんと夜中の3時頃だったと思います。今だったらビデオに録画すればこと足りるのですがその頃ビデオなんていう気の効いたものはありません。だから眠い目をこすりながら(その頃は夜更かしの習慣はなく本当に起きているのが辛かったです。)さらに親に何でまだ起きているのよと文句を言われながら兄貴と一緒に必死にTVを見た記憶があります。眠さに負けてTVを見た時の内容は実はよく覚えていません。半分眠って見ていたかも。今思うとバカなことしていたなと思う反面懐かしくもあり良き思い出の1つになっています。


【フランス国歌】
もう1つが、大好きな映画「カサブランカ」でのワン・シーン。酒場の店の雰囲気にとても合うと思えないドイツ軍歌を大声で歌うドイツ軍人達。あまりの傍若無人ぶりに頭にきたリック(ハンフリー・ボガード扮する主人公の名前)は店のバンドに「ラ・マルセイユ」(フランス国歌の曲の名前)を演奏するよう命じます。店のお客さんは「ラ・マルセイユ」の演奏に呼応し一人二人と歌い始め最後にはドイツ軍歌をかき消してしまうぐらいの大合唱になっていきます。「ラ・マルセイユ」が自由の象徴として使われている場面設定ですね。こういう場合ただでは済むはずもなくリックの店は営業停止処分を食らってしまいます。こういうリックのこの行動はどう思われますか?先見の明のない愚か者でしょうか?自分の意思を貫き通す頑固者でしょうか?僕は拍手しちゃうな。自分が同じ状況に置かれたら多分やろうと思ってもできないだろうから。 今日はこれでお終い。
 では、また明晩お会いしましょう。


[関連情報]
作詩:不明(古今和歌集読み人知らずの歌より引用)
作曲:林広守
編曲:フランツ・エッケルト



お気に入りの音楽千夜一夜 お気に入りの音楽千夜一夜 お気に入りの音楽千夜一夜 お気に入りの音楽千夜一夜    御感想、御指摘等のご連絡は、お気に入りの音楽千夜一夜までどうぞ