【日曜洋画劇場】
映画は好きですか?僕はマニアとまではいきませんが結構好きなほうで、テレビで映画とかやっているとついつい観はじめて終わりまで見てしまうことが多いです。どうせみるんだったら劇場で、大画面で、大音響で見たいなとは思うもののそういう風に映画を見るのはせいぜい年に数回程度です。テレビの洋画劇場で一番見ることが多いのは日曜洋画劇場です。サラリーマンなので日曜日以外は家にいないことが多いからでしょう。
【エンディング・テーマ】
かつての日曜洋画劇場は淀川長治さんが独特の語り口で解説をしていたのが印象に残っています。あの「さよなら、さよなら、さよなら」と3回連呼する最後の挨拶が印象的ですよね。それともう1つ印象に残っているのがこの番組のエンディングテーマです。フル・オーケストラのアレンジで演奏されるこの曲が「ソー・イン・ラブ」。好い曲だなと感じるとともにとても素敵なアレンジだなと聴く度に思います。主役はピアノで全体が構成されていてよい映画を見た後の余韻にひたっているとこの曲が流れてきてある時は激しくある時はやさしくたゆとうピアノの旋律を聴いているとその余韻が倍増するような気になります。お菓子のコマーシャルではありませんが「二度おいしい」とは正にこういうことをいうのだと思います。
【聴いた回数は果てしない】
日曜洋画劇場はいったいいつから放送されているのでしょうか。僕が結構小さい頃から淀川さんの顔を見ていたような気がするのですが、「ソー・イン・ラブ」も随分小さい頃から聴いていたことになります。僕が生まれてから聴いた音楽の中でトータル回数で行けば上位にランクされるのは間違いありません。第一夜でお話した「スター・ダスト」のようにこの曲の題名は知りませんでした。大学に入りジャズに親しみはじめたある日「So in love」と書かれた譜面を弾いてみてこの曲の題名を知りました。そのときは嬉しかったなあ。題名がわかると毎週日曜日に聴くこのエンディング・テーマがよけい素敵な曲に思えてくるから不思議です。ところでこの素敵なアレンジが施された「So in love」は、テレビだからしょうがないのですが途中でフェードアウトして終わってしまいます。テレビを見終わった後、ちょっぴりですが、がっかりしてしまいます。できれば、誰がアレンジしたかとか知りたいし頭から終わりまで通しで一度でいいから聴いてみたいものです。
【わがまま親父になってみる】
今の時代、ちょっと調べればわかるのですがもう少し後まで楽しみに取っておこうと思います。誰かと会話している時に偶然教えてもらったり、子供の宿題にしてもいいかなとも思っています。子供の宿題というのはこういうことです。子供が英会話を習いたいとか僕におねがりをする時にこう言うのです。「お前の願いをかなえてやろう。ただし、条件が一つある。いまからいうことを1ヶ月以内に調べてお父さんに報告できたらね。」といって日曜洋画劇場と同じアレンジの「So in love」が入っているCDを探して来いというのです。どう思います?ただのわがまま親父でしょうか。
【僕の親父は超わがままだった】
わがままといえば僕の親父も超の付くわがまま親父でした。親父の死期が近づき最後のお別れに故郷にお見舞いに出掛けた時のことです。父は、やつれはて病院のベッドに寝たきりでもう起き上がることも、歩くこともままなりません。今日は1日親父のそばで過ごそうと思っていた僕に父はこういいました。「オイ、タバコが吸いたい。」ここは病室、勿論禁煙です。「そりゃあ、無理だよ、親父。」と言おうとしてでもちょっと考えました。今日を最後に多分親父にはもう会えません。だったら、僕に託した親父のささやかな願いぐらい叶えてあげなくてどうする。そう考えが変わりました。看護婦さんとかに見つかったらそれはもうドヤされるんでしょうが、その時はその時です。僕のタバコを親父に渡し火を付けてあげました。親父はそれはもううまそうにタバコを吸うことといったら....で、僕もつられてタバコを吸っちゃいました。いけないと知りつつ。結局、看護婦さんには見つからず禁断の至福の時を過ごし、ことなきを得ましたが...。最近、冷静になって思うのですが親父はいい思い出になるよう敢えてこんな無茶なことをいったのではないのかなと考えることがあります。もう起きるのがままならないくらいですから、親父がタバコがうまいと思う余裕があったのかと思うとかなりつらかったんじゃないかと...。僕が死ぬ間際に「おい、タバコが吸いたい」といったら息子はどうするでしょうか。そういうことを考えると親父の残してくれた思い出はとても貴重な気がします。
【エンディング・テーマを止めさせたのはどこのばか者だ】
このエッセイを書き始めてそういえば暫く日曜洋画劇場を見ていないなあということに気が付いたので久しぶりに見ることにしました。ところがです。番組が終わり待てど暮らせど流れないのです、あの「So in love」が.....。とてもがっかりしました。これでもう息子にいじわる親父の宿題を出す夢も叶うことはなくなってしまいました。そう思うと妙に悔しくてだんだん怒りが込み上げてきます。何も止めることないじゃないか。どうして止めることになったのでしょうか。これでは、他の洋画劇場と何も変わりません。実につまらない。止めようという話になった時に誰も反対しなかったのでしょうか。もう日曜洋画劇場なんて見るもんか。そう、思ってしまいます。あの「So in love」をエンディング・テーマに使おうと考えた人のセンスのよさみたいなものが簡単に無視されたような気持ちになり残念でなりません。まあ、僕も毎週見ているわけではないのでえらそうなことはいえませんが...。今日はこれでお終い。
では、また明晩お会いしましょう。
[関連情報]
作曲:コール・ポーター
作詞:コール・ポーター