【ゴキゲン・ソング】
この曲は、デュエットで歌われる実にゴキゲンな曲。男性ボーカルは、ダニー・ハザウェイ、女性ボーカルはロバータ・フラックが歌っています。若い頃、僕もこの曲を歌っていました。この曲の持ち味は何といってもファンキーなメロディではないかと思っています。どちらかといえば派手ではなく地味なメロディですが、バックの仕掛けだらけの伴奏との組み合わせが良い感じで、じわじわと好きになった曲です。
【裏だらけのメロディ】
最初の1コーラス目はダニー・ハザウェイがソロをとり、サビからはロバータ・フラックが加わってデュエットになります。2コーラス目は今度はロバータ・フラックがソロを取りサビは1コーラス目と同じようにデュエットで歌われます。この曲は自分で歌っていたこともあり、聴いてよいと感じるよりは実際に歌ってみてよいと感じる曲です。ソロの部分のメロディは裏のリズムが多く使われていて少し歌うのが難しい気がします。慣れてくると逆にこれが快感に変わってきます。ところで、裏という言葉はローカルな音楽用語なのでちょっと説明します。
【裏って何?】
8分音符が2つ並べると音の長さは4分音符1つ分に相当します。右の譜面を見てください。最初の8分音符を演奏するタイミングを表、2つめの8分音符を演奏するタイミングを裏といいます。ユー・アー・マイ・ヘブンは8分音符の裏を沢山使ってメロディが書かれています。この手の曲は多かれ少なかれ必ず裏を強調するメロディになることが多いです。ちょっと書いてみましょうか?下の譜面のような感じになり裏を沢山使ったメロディであることがわかります。
【クラシックにはない特有の文化】
しかも表の音がお休みしているのでつっかかったような感じのメロディになり、クラシックではあまり出てこないタイプのメロディだと思います。この曲を歌う時は裏を思いっきり強調して歌います。そういう歌い方をわざとすることによりソウルフルな感じが出てきます。裏を意識して歌わないととてもつまらない感じになってしまいます。要するに乗りが悪い歌い方になる訳でこの手の音楽を演奏する人は、ゴキゲンな感じに演奏できるようにとか、乗りの良い演奏が出来るようにとかリズムに対する特別の思いを込めて演奏します。小さい頃からこの手の音楽を聴いていると自然に身につく感覚なのかもしれません。
【ストレートな表現】
さて、この曲のサビの部分の歌詞ですが「You are my love, you are my heaven. You are my love, make me sing la-dee-dah」と恋して楽しくてしょうがないラー・ディ・ダーと歌いたくなっちゃうって感じのするとってもハッピーな内容です。メロディもノリノリなので歌っていると段々気分が高揚してきて自然と笑顔が出てくる気がしていつもとても幸せな気分で歌えます。ここでは複雑な感情を云々するような微妙で繊細な感覚でなくとにかく君といると楽しいという感情をストレートに嫌味なく表現していて聴けば聴くほど好きになるといった感じです。この曲のメロディは誰が作ったと思いますか?レコードを引っ張り出して調べてみました。作者は僕の大好きなスティービー・ワンダ-。やっぱりなという感じですね。スティービー・ワンダーは素晴らしいメロディー・メーカーだなあと素直に思います。
【音楽の相性】
ダニー・ハザウェイは若くして亡くなったと訊きます。もっと長生きして素晴らしい作品を沢山残して欲しかったなあと、彼の音楽を聴く度に思います。ダニー・ハザウェイの歌い方はちょっとスティービー・ワンダーの歌い方に通ずるものがあり、僕好みです。センスの良さを感じてしまいます。それと二人の歌の声質に共通したものを感じます。高音の地声で張って歌う声なんですがそっくりだと思いませんか。この声にはしびれます。この辺りのミュージシャンが作る音楽は相性が良いようで好きな曲が一杯あるんです。また、次の機会にお気に入りの曲を紹介したいと思います。
今日はこれでお終い。
では、また明晩お会いしましょう。
[関連情報]
作曲:スティービー・ワンダー