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  第28夜 ウィンドウズ(Windows)

【チック・コリア】
お気に入りの音楽千夜一夜 ウィンドウズ チック・コリアを知っていますか?独特のスタイルで一世を風靡したジャズ・ピアニスト。「リターン・トゥ・フォー・エバー」というアルバムがジャズにしては珍しく大ヒットしました。この人はフリーとかにも挑戦していて凄く器用な人という印象を受けます。僕は、音楽は何でも聴くほうですがフリー・ジャズは趣味にあいません。それで僕の場合はフリーは除きますがチック・コリアの音楽は概ね好きです。特徴があるので嫌いな人はこきおろす人もいますが...


【個性的な曲】
 彼は自分のオリジナル曲を沢山書いていますが、その中に「ウィンドウズ」という美しい曲があります。ジャズには珍しく3拍子で書かれています。この曲が醸し出す雰囲気は抜群で初めて聴いた時一発で好きになりました。この頃の時代を反映してモーダルに演奏されることが多いです。モーダル、聞きなれない言葉ですよね。モーダルとはモード奏法に準じて演奏するという意味で、ジャズが伝統的に曲についているコードを強く意識するのに対し、音階を意識して演奏する奏法をモード奏法といいます。モードの音階はそれぞれ名前がついていて「リディアン」とか「ミクソリディアン」などと呼びます。詳しくは忘れてしまいましたが、「レ」から始まるのがリディアンだったっけ?マイルス・デイビスが演奏する「ソー・ホワット」はモード奏法のシンボル的な曲です。物凄い速いテンポで演奏されるのも特徴です。最初のころはもっと普通のテンポだったのですが、年を追う毎にどんどん速度が速くなりいきつくところまでいってしまったという感じです。モード奏法はアドリブの手法以外にも色々な特徴があり、伴奏するコードはトライアード・コードといって基本のコードにさらに別のコードを重ねて弾くのが流行してサウンドはちょっと難解です。元気なときは聴く気がしますが、落ち込んでるときにはちょっと遠慮したくなります。笑)別の言い方をすれば、抽象画を見る感覚に似たものがあるのかもしれません。モード奏法の譜面は、割と単純で単純な譜面をいかにアレンジして自由に演奏できるかみたいなことをみんな競っていたような気がします。


【モードのバラード】
 ところで、モードの曲は速い曲ばかりかというとそうでもありません。バラードとかちゃんとあります。でも、サウンドは速い曲と同じように難解です。リラックスして聴くにはちょっと不向きかもしれません。モード奏法で演奏される曲は通常の曲に比べると難解ですがこの「ウィンドウズ」という曲はとてもメロディアスです。学生の頃、この曲をピアノ・トリオで弾きたくて練習した昔が懐かしい。


【スキャットの超人】
 感覚的には何か掴み所のないふわっと浮いたような不思議なメロディでとても魅力を感じます。ところで、この掴み所のない雰囲気のいかにも歌いにくそうなメロディをスキャットで軽々と歌ってしまう超人がいます。それがボビー・マクファーリン。自分の声をまるで楽器のように扱って作品を作る人でなかなか面白いアプローチをする人だなあと感じます。僕の好みのアーティストですね。歌を楽器とみなして考えるとこれはなかなか面白い楽器ということがいえそうです。サックスのような色気たっぷりにいや、場合によってはそれ以上に情感を表現できる可能性があります。反面、速いパッセージをバリバリ演奏することは苦手です。音程が定まりにくくへたくそなバイオリンみたいな感じになってしまいます。ところがこのボビー・マクファーリンは歌うのは無理かなってあきらめてしまいそうな曲をスキャットでやってのけてしまうので驚きです。思わずひっくり返ってしまいそうになります。そのチャレンジ精神は素晴らしく、歌にはまだまだ色々な可能性が残されているんだよって教えてくれている気がします。自分の歌がマンネリで困ってる人がいたら是非ボビー・マクファーリンを教えてあげてください。ボビー・マクファーリンを聴いてひっくり返ると、打開のヒントを得られるかもしれません。笑)今日は、これで御終い。
 では、また明晩お会いしましょう。


[関連情報]
作曲:チック・コリア


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