【重厚なアンサンブルにうっとり】
SwingJazzの大御所、カウント・ベイシー(Count Basie)楽団(BigBand)のナンバーです。左の写真は、若き日のベイシー。この頃はあまり太っておらずなかなか凛々しいと思いませんか。ところで、「リル・ダーリン」は超スローなバラードで、ハイソサイエティな雰囲気に満ち溢れている大好きなナンバーです。ベイシー楽団のブラス・セクションが活躍する重厚なアンサンブルを聴くと嬉しくて昇天しそうになってしまいます。かつて大学の頃所属していたBigBandサークルはダンス・パーティなどでよくこの曲を演奏していました。
【超スローでリズムを維持すること】
超スローといいましたがこのテンポで演奏するのはほんとに難しいです。最初このテンポではじめて、終わりまでキープできたらプロでやっていけるリズム感を持っていると思って間違いありません。サークルにはいって間もない頃、なんでこんなにもたった演奏をするんだろうと思っていましたが、そばで聴くともたって聴こえるだけでそれぐらいゆったりと演奏しないとバラードのテンポはキープできないことをしばらく経ってから知りました。このテンポはよほど気をつけて演奏しないとどんどんテンポが早くなり、曲が終わる頃には始めたテンポと大違いという事態になりかねません。実際に演奏してみると骨身にしみてよくわかります。私も凡人のリズム感なのでこのテンポで曲の終わりまでゆったりしたリズムをキープできる自信はありません。
【この曲をコーラスで...】
この曲はボーカリーズの走りであるジャズ・コーラス・グループ、ランバート・ヘンドリックス&ベバン(ロス)がカバーしていてこれを聴いたとき、僕もこんなコーラスができたら素敵だなあと憧れたものです。ランバート・ヘンドリックス&ベバンはコーラス・テクニックはイマイチと感じはするもののボーカルをまるで楽器のように捉えて歌うその先進性に心惹かれました。特にメンバーのジミー・ヘンドリックスは積極的に活動を続けマンハッタン・トランスファの「メッカ・フォー・モダン」のアルバムで渋いスキャットソロを披露しています。なかなかかっこいい、素晴らしいスキャットだと思います。いつものことですがこれを聴いて僕もこんなスキャットを歌ってジミー・ヘンドリックスみたいになりたいと思ってしまいます。でも、この憧れは半分ぐらい実現できたかも。「ミュージック・ライフ」という4ビートの曲を作ったときにこのスキャットを思い出し、同じような感じでスキャットを歌ってみました。ジミー・ヘンドリクスになったつもりで...笑)。よかったら聴いてください。→ジミー・ヘンドリクスのつもりになったスキャットを聴く
【ミュートトランペットのソロ】
さて、ベイシーのリル・ダーリンは、2コーラス目でトランペットソロがはいります。ミュートトランペットの素晴らしいソロ...ミュートというのは楽器の音を消音する器具のことを指します。消音といっても全部音を消してしまう訳ではなく弱くするといったほうが正しいですね。トランペット、トロンボーンそれぞれに専用のミュートがありラッパの部分を塞ぐようにして取りつけます。ミュートを取りつけると音量を小さくなると同じに音質も変化します。特にトランペットの場合なかなかおつな音になり僕好みの音色です。聴くといつもしびれちゃう感じ。一方ランバート・ヘンドリックス&ベバンのほうは、ベバン(女性)のトランペット・ソロを忠実にボーカリーズしたこれも素晴らしいソロを聴くことができます。このソロはメロディをスキャットで歌いません。歌詞がちゃんと付いています。
【ロングトーンが迫る】
ちなみに、バラードは好きですか?私は、大好き!曲のテンポが遅い分、ロングトーンが多くなりますが、「リル・ダーリン」を例にとれば管楽器のロングトーンでの重厚な響きと音の抑揚についつい耳がいってしまいます。ブラスセクションの重厚なサウンドがじわ~~っと迫ってくるともういけません。ついつい聴き入ってしまいます。この曲もいつか僕自身のアレンジで作ってみたいカバーソングの曲にリストアップされています。いつできることやら。将来、新曲コーナーでこの曲を見つけたら聴いてみてください。
では、また明晩お会いしましょう。
[関連情報]
作詞:Jon Hendriks
作曲:Neal Hefti