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お気に入りの音楽 千夜一夜 エンジェル・アイズお気に入りの音楽 千夜一夜       



  第73夜 エンジェル・アイズ(Angel Eyes)

【暗い歌だけど】
お気に入りの音楽千夜一夜 エンジェル・アイズ マット・デニスという人が作ったバラード。ジャズのスタンダード・ナンバーです。とても暗い歌ですが独特の妖しい雰囲気を持った歌です。普通はバラードで演奏されることが多いです。でもなかなか素敵なメロディなのでオリジナルの雰囲気は敢えて無視して倍テンでボサノバとかでやってしまう人もいたりします。こういうのは今まで抱えていたものをなくして取り組まないとなかなか思いつくものではありません。


【倍テンの約束事】
 倍テンというのは文字通り原曲の倍のテンポで演奏することを指します。倍テンで演奏する場合は演奏する人の暗黙の了解があって小節数も倍にして演奏するのが基本です。そうしないとあっという間に1コーラス終わってしまいます。倍テンで演奏するのは僕も好き。例えばバラードで普通に演奏しておいて途中から倍テンにして盛り上げるなんていう構成を取るとリズムに変化が出て面白かったりします。


【コーラスでこの曲を歌うフォー・フレッシュメン】
 ところで、この「エンジェル・アイズ」の演奏で最初に「素晴らしい!」と思ったのは何といってもフォー・フレシュメンが5管のトロンボーンをバックに歌うコーラスを聴いた時でした。フォー・フレッシュメンの重厚なコーラスとこの曲の持つ悲しさが合っている気がしてしばらくはまりました。


【この曲はバースがある!】
 最近知ったのですがこの曲にはバースが付いています。きっかけはスティングが歌う「エンジェル・アイズ」を聴いた時。スティング?彼はロック・シンガーだろ?そうなんですが、彼はジャズのスタンダードを歌ったりするんです。スティングの歌い方はジャズばかり歌っている人の歌い方とは少し聴いた感じが違います。で、そこが何か新鮮で良いんですねえ。「エンジェル・アイズ」の他にも「マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブ」とか歌っていますがこちらもなかなかお勧めです。ジャズらしくないと嫌う人もいるかもしれません。が、僕は大好き。一度聴く価値はあると思います。「エンジェル・アイズ」のメロディは実に魅力的ですがバースのほうも負けていません。かなり複雑なバースで只者ではないという感じです。この曲のテーマは普通FマイナーですがバースはB♭マイナーで始まるという変り種です。テーマがFマイナーなら普通はバースもFマイナーで始まりそうなものですが最初からして興味をそそります。複雑なバースといいましたがなかなか凝ったメロディで一度聴いただけでは良く把握できないかもしれません。何度も聴いているとスルメを噛むようにその良さが段々わかってくるような気がします。


【この曲だからこそ漂う妖しい雰囲気】
 バース付きのスティングの演奏を聴いているとこの曲のもつ妖しい雰囲気が漂ってきて最初聴いた時は鳥肌が立ちました。それとバックで弾いているピアノが只者ではありません。誰が弾いているかわからないのですが素晴らしい伴奏です。「金平糖の踊り」って知ってますか?確かチェレステ(チェンバロみたいな音)とかいう特別な楽器で奏でられるファンタジックな曲でこのピアノの伴奏を聴いていて「金平糖の踊り」を連想してしまいました。


【レパートリーにしてみたくなった】
 というわけでこのスティングの「エンジェル・アイズ」は相当気に入ってしまいました。僕のいつもの悪い?癖で僕もスティングと同じように歌ってみたいと思うようになりました。しかし、僕がこの曲を歌えるようになるには1つ問題がありました。「エンジェル・アイズ」のバースの譜面がないのです。ジャズのスタンダードの譜面は最近は色々出回っていて探してみたのですがバース付きの「エンジェル・アイズ」の譜面はとうとう見つけられませんでした。仕方ないので自分でコピーすることにしました。昔から好きなフレーズやコードは試行錯誤して譜面にしたりしていたのでやり始めたのですがこのバースをコピーするのは少々骨が折れました。とんでもないコードが使われてたりしていてちょっとビックリしました。それとテーマのコード進行はなかなかよく考えてあるなと感じました。普通レパートリーにしようとする曲のコードは必ずどこか気に入らないところがあることが多いです。曲を弾いて遊んでいるとここはちょっとこう変えてみようかと思いつくところがありコードを替える試みをします。でもこの曲はそういう余地がないという感じがして結局オリジナルのコードのまま使ってみようと思いました。


【エンジェル・アイズってどういう意味?】
 「エンジェル・アイズ」はこの歌の主人公である男が想いを寄せる女性の眼差しを指していると思います。想いを寄せる彼女と待ち合わせた彼のもとにいつまで経っても現れない彼女。他の男とデイトに出かけてしまったのだろうか。「みんな!飲んでくれ。愚かなオレを笑ってくれてもいい...」と自嘲する男。そんな感じのやるせない暗い悲しい曲。こんな状況に置かれたらたまらんなあと思う反面、それでも魅力を感じる小悪魔のような彼女って実際にどこかにいるんだろうなあと思ったりもします。


【シナトラのステージ】
 ところで最近になってこの「エンジェル・アイズ」を歌うフランク・シナトラのステージをDVDで見る機会に恵まれました。さすが元俳優、フランク・シナトラのステージはダンディな短い演技をした後で歌が始まります。なんとなく薄暗いステージからバーのカウンタとかが見えてきて雰囲気は抜群ですね。そんな感じを抱かせます。歌い始めてからおもむろにタバコを取り出し何とステージ上で吸い始めたのにはちょっとビックリしました。普通はできないですよね、こんなこと。大スターといっても無理な気がします。どうやって調整したんだろうと要らぬ心配をしてしまいます。今日はこれでお終い。
 では、また明晩お会いしましょう。


[関連情報]
作詩:マット・デニス
作曲:マット・デニス


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